STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第81問

器質性構音障害第26回
進行舌癌術後の構音障害の特徴について正しいのはどれか。 a.鼻腔構音に対する訓練を行う。 b.破裂音[t]の明瞭度は保たれる。 c.再建例では遅発性の委縮に配慮する。 d.舌の切除範囲が広いと明瞭度は低下する。 e.口腔内に唾液が貯留すると歪み音となる。 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — c,d,e 舌癌術後の構音障害では、舌の切除範囲の広さが音韻産出に直結するため、破裂音[t](舌尖音)の喪失は避けられず、むしろ歯茎音や帯気音などへの代償が生じます。再建術後は皮弁の遅発性委縮により進行性の構音機能低下が起こるため、長期的な経過観察と訓練調整が必要です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 鼻腔構音に対する訓練を行う。 ❌ 誤り。舌癌術後の構音障害は舌の器質的欠損による「舌音の産出困難」が主体であり、鼻腔構音(鼻音[m][n])は舌の運動よりも軟口蓋と咽頭咋頭の閉鎖に依存するため、舌切除の直接的影響を受けません。訓練対象となるのは破裂音・摩擦音などの舌依存音です。 b. 破裂音[t]の明瞭度は保たれる。 ❌ 誤り。[t]は舌尖を歯茎に接触させて産出する舌尖音であり、舌切除の影響を最も受けやすい音です。舌体部が広く切除される場合、舌尖の挙上位置・力度・接触時間いずれもが低下し、[t]は[s]や咳払い音など帯気音への代償産出となります。明瞭度は著明に低下します。 c. 再建例では遅発性の委縮に配慮する。 ✅ 正しい。舌癌切除後の再建(皮弁移植)例では、移植皮弁は初期には容積が安定していても、術後数ヶ月~数年にかけて遅発性委縮が進行します。この委縮に伴い構音機能は段階的に低下するため、初期評価後も定期的な経過観察と段階的な訓練調整が必要です。 d. 舌の切除範囲が広いと明瞭度は低下する。 ✅ 正しい。舌は[t][d][n][s][z][l]など多くの音韻産出に関与する器官です。切除範囲が広がるほど、舌尖・舌背・舌側部の運動範囲と力度が制限され、これらの音の明瞭度が線形に低下します。特に舌全体の50%以上の切除で構音障害は著明となります。 e. 口腔内に唾液が貯留すると歪み音となる。 ✅ 正しい。舌癌術後は唾液分泌の変化および嚥下機能低下により、口腔内唾液貯留が起こりやすくなります。唾液貯留により舌と口蓋の接触精度が低下し、破裂音や摩擦音の調音位置が不安定になり、音が歪みます。これは非器質的要因による二次的な構音障害です。 --- 【試験対策ポイント】 器質性構音障害の分類と特徴 | 疾患 | 主要機構 | 特徴音 | 対応 | |---|---|---|---| | 舌癌術後 | 舌体欠損 | [t][d][n][s][z]低下 | 代償音訓練・嚥下訓練 | | 口蓋裂 | 軟口蓋機能不全 | [p][b][t][d][k][g]が鼻音化 | 鼻腔構音訓練・手術後指導 | | 舌下神経麻痺 | 舌の片側筋力低下 | [t][d][s]不鮮明(対側音へ偏位) | 患側への運動誘導 | キーワード - 舌切除範囲と構音障害の
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