第26回 言語聴覚士国家試験 第83問
運動障害性構音障害第26回
運動障害性構音障害を呈している患者。軟口蓋反射の消失、舌の筋緊張低下を認める。
構音障害のタイプはどれか。
- 1.運動低下性
- 2.運動過多性
- 3.失調性
- 4.弛緩性 ✓
- 5.痙性
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 弛緩性
患者が「軟口蓋反射の消失」と「舌の筋緊張低下」を示しており、これらは下位運動ニューロン障害の典型的な所見です。弛緩性構音障害は下位運動ニューロン障害(脳神経核・末梢神経障害)による構音障害であり、球麻痺の原因となります。
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【各選択肢の解説】
1. 運動低下性
❌ 誤り。運動低下性構音障害は錐体外路障害(パーキンソン病など)が原因であり、筋緊張は低下せず、むしろ固縮を伴います。軟口蓋反射も通常は保たれています。
2. 運動過多性
❌ 誤り。運動過多性構音障害は脳性麻痺や不随意運動を基盤とするもので、筋緊張低下は特徴ではありません。むしろ異常な運動が前景に出ます。
3. 失調性
❌ 誤り。失調性構音障害は小脳障害が原因で、筋緊張低下は軽度に現れることもありますが、軟口蓋反射消失は特徴的ではなく、断綴性発話が主要症状です。
4. 弛緩性
✅ 正しい。下位運動ニューロン障害による構音障害です。軟口蓋反射消失は脳神経核(舌咽神経・迷走神経)障害を示唆し、舌の筋緊張低下は舌下神経麻痺を意味します。典型的な臨床徴候は気息性嗄声・開鼻声・構音不明瞭です。
5. 痙性
❌ 誤り。痙性構音障害は両側錐体路障害(偽性球麻痺)が原因で、反射は亢進(反射の消失ではなく過活動)し、筋緊張は低下せず増加します。
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【試験対策ポイント】
Mayo分類の5つの構音障害:
| タイプ | 原因(神経障害部位) | 反射 | 筋緊張 | 典型症状 |
|---|---|---|---|---|
| 弛緩性 | 下位MN障害(脳神経核・末梢) | 消失・減弱 | 低下 | 開鼻声・気息性嗄声 |
| 痙性 | 両側錐体路障害 | 亢進 | 増加 | 努力性嗄声・鼻声 |
| 失調性 | 小脳障害 | 正常~減弱 | 低下 | 断綴性発話・扁桃体異常 |
| 運動低下性 | 錐体外路障害 | 正常 | 固縮・固い | 加速現象・単調音声 |
| 運動過多性 | 脳性麻痺・不随意運動 | 可変的 | 異常運動 | 不規則な構音変化 |
鑑別のキーポイント:
- 軟口蓋反射消失 → 下位MN障害(脳神経根部損傷)
- 筋緊張低下 → 弛緩性 or 失調性 だが「反射消失」で弛緩性に絞られる
- 反射亢進 → 痙性(錐体路障害)
球麻痺(下位)vs 偽性球麻痺(上位)の区別も重要ですが、本問では「反射消失」が決定的です。