STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第89問

聴力検査第26回
耳音響放射について誤っているのはどれか。
  1. 1.自動 ABR に比べて偽陽性率が高い。
  2. 2.新生児聴覚スクリーニングに用いられる。
  3. 3.歪成分耳音響放射の測定には 2 種類の刺激音を用いる。
  4. 4.蝸牛の内有毛細胞の機能を反映している。 ✓
  5. 5.Auditory neuropathy spectrum disorder の診断に用いられる。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 蝸牛の内有毛細胞の機能を反映している。 耳音響放射(OAE)は蝸牛の外有毛細胞の機能を反映する検査であり、内有毛細胞の機能は反映しません。OAEが記録できても内有毛細胞に障害があれば聴覚神経への信号伝達が障害されるため、聴力は低下することがあります。これがAuditory neuropathy spectrum disorderの診断において、OAEが正常でもABRが異常になる理由です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 自動 ABR に比べて偽陽性率が高い。 ✅ 正しい。OAEは耳垢や中耳液などの影響を受けやすく、外有毛細胞が完全には機能していない状態でも検出されることがあるため、自動ABRより偽陽性率が高いです。新生児スクリーニング標準マニュアルでもOAE→ABRの2段階検査が推奨される理由です。 2. 新生児聴覚スクリーニングに用いられる。 ✅ 正しい。OAEは非侵襲的で検査時間が短く、新生児に対して施行可能なため、新生児聴覚スクリーニングの第一段階検査として広く使用されています。 3. 歪成分耳音響放射の測定には 2 種類の刺激音を用いる。 ✅ 正しい。歪成分耳音響放射(DPOAE)は異なる周波数の2つの刺激音(f1とf2)を同時に提示し、蝸牛が生成する2f1-f2などの歪成分を測定します。これにより周波数特異的な外有毛細胞機能評価が可能です。 4. 蝸牛の内有毛細胞の機能を反映している。 ❌ 誤り。OAEは外有毛細胞の活動電位による機械的な動きを反映する検査です。内有毛細胞は音刺激を電気信号に変換する役割ですが、OAEではこの機能は直接評価されません。 5. Auditory neuropathy spectrum disorder の診断に用いられる。 ✅ 正しい。ANSD患者はOAE正常+ABR異常の特異的パターンを示すため、診断に極めて重要です。OAE正常は外有毛細胞が機能していることを示し、ABR異常は聴覚神経や内有毛細胞の障害を示唆します。 --- 【試験対策ポイント】 外有毛細胞 vs 内有毛細胞の役割 | 項目 | 外有毛細胞 | 内有毛細胞 | |---|---|---| | OAEで評価 | ✅ 評価可能 | ❌ 評価不可 | | 機能 | 蝸牛増幅(機械的なフィードバック) | 音→電気信号変換 | | ABRで評価 | ❌ 直接評価困難 | ✅ ABRの基礎 | | 障害時のOAE | 異常 | 正常~正常に近い | 新生児聴覚スクリーニングの検査戦略 - 第1段階:OAE(偽陽性率が課題) - 第2段階:自動ABR(より特異度が高い) - 理由:OAEのみでは中耳液などの機械的障害で偽陽性が増加するため、ABRで聴覚神経機能を確認 ANSD診断の鍵となるパターン:OAE正常+ABR異常 - OAE正常→外有毛細胞は正常 - ABR異常→聴覚神経または内有毛細胞~シナプス部位の障害 - 結論:内有毛細胞またはシナプスより末梢の障害の存
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