STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第93問

成人聴覚障害第26回
加齢性難聴者に対する指導で誤っているのはどれか。
  1. 1.社会参加を促す。
  2. 2.補聴器の両耳装用を勧める。
  3. 3.指文字の併用を指導する。 ✓
  4. 4.補聴援助システムの使用を勧める。
  5. 5.コミュニケーションストラテジーを指導する。

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 指文字の併用を指導する 加齢性難聴は進行性の感音難聴で、補聴器による音声増幅で対応が可能な場合がほとんどです。指文字は視覚的コミュニケーション手段として有効ですが、加齢性難聴者には不適切です。指文字習得には高度な学習を要し、加齢性難聴者の大多数は指文字を習得せず、むしろ補聴器と聞き直しやコミュニケーション工夫で対応できるため、指導対象として優先度が低く、むしろ実用的ではありません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 社会参加を促す。 ✅ 正しい。加齢性難聴により社会的孤立に陥りやすいため、聴覚障害者向けイベント参加、地域活動への参加を促すことで生活の質(QOL)向上につながります。 2. 補聴器の両耳装用を勧める。 ✅ 正しい。両耳装用により音源定位が改善され、騒がしい環境での聴別能が向上し、単耳装用より語音明瞭度が高くなります。加齢性難聴の標準的な対応です。 3. 指文字の併用を指導する。 ❌ 誤り。指文字は先天聾や幼児期失聴者など、言語習得期に視覚的コミュニケーション手段が必要な聴覚障害者向けの指導内容です。加齢性難聴者は成人期に聴力を失うため、既に音声言語が確立しており、指文字習得の必要性が低く、むしろ補聴器や聞き直しで対応します。 4. 補聴援助システムの使用を勧める。 ✅ 正しい。テレビやラジオ聴取、講演会参加時に赤外線方式・磁気ループ方式などの補聴援助システムを活用することで、聴取環境が著しく改善されます。 5. コミュニケーションストラテジーを指導する。 ✅ 正しい。聞き返し・いけない・繰り返し・遠回しの言い方など、補聴器使用下でも聞き取れない場合の対話技巧を習得することで、コミュニケーション効率が向上します。 --- 【試験対策ポイント】 聴覚障害者の指導内容:対象者による分類 | 対象者 | 適応する指導 | 非適応な指導 | |---|---|---| | 加齢性難聴者 | 補聴器(両耳装用)、補聴援助システム、コミュニケーションストラテジー、社会参加促進 | 指文字、手話 | | 先天聾・幼児期失聴者 | 指文字、手話、視覚的聴覚活用法 | (音声言語習得が困難なため音声言語中心指導は適さない) | | 人工内耳装用者 | リハビリテーション聴覚訓練 | 指文字依存 | キーワード: - 加齢性難聴=音声言語既習者→補聴器でカバー可能 - 指文字は「視覚手段の学習」が必須→加齢性難聴者には学習負荷が大 - 両耳装用=音源定位改善・騒音場での聴別能向上(国試頻出)
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