STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第26回 言語聴覚士国家試験 第99問

補聴器・人工内耳第26回
58歳の男性。小児期から中耳炎を繰り返しており、すでに複数回の手術を受けているが耳漏のコントロールは困難で、現在も半年以上耳漏が持続している。両耳伝音難聴を認める。 補聴手段の適応となるのはどれか。 a.ポケット形補聴器 b.RIC 補聴器 c.BAHA d.軟骨伝導補聴器 e.人工内耳 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c. BAHA および d. 軟骨伝導補聴器 この症例は「慢性中耳炎(耳漏が持続)」と「両耳伝音難聴」を合わせ持つ難聴患者です。耳漏により外耳道に補聴器を装用できない場合、骨導を利用した補聴手段(BAHA・軟骨伝導補聴器)が適応となります。一方、従来の気導補聴器は耳漏が多い環境では感染リスク・機器損傷のため不適切です。 --- 【各選択肢の解説】 a. ポケット形補聴器 ❌ 誤り。ポケット形補聴器は気導補聴器であり、外耳道にレシーバーコードを挿入する必要があります。本症例は「半年以上耳漏が持続」しており、外耳道への器具挿入は感染リスク増加・機器腐食の原因となり、衛生学的に推奨されません。 b. RIC補聴器(Receiver In Canal) ❌ 誤り。RIC補聴器も気導補聴器であり、小型レシーバーを外耳道内に挿入します。a同様、耳漏が持続する患者には感染・衛生管理の面で不適切です。 c. BAHA(Bone Anchored Hearing Aid) ✅ 正しい。BAHAは骨導補聴器であり、チタン製のインプラント体を側頭骨に埋め込み、頭部に装着した音声プロセッサーが骨を振動させて内耳に直接音を伝えます。外耳道を使用しないため、耳漏の有無に影響されず、伝音難聴の患者に最適です。健聴耳がある場合でも両耳伝音難聴なら適応となります。 d. 軟骨伝導補聴器 ✅ 正しい。軟骨伝導補聴器は耳介軟骨部に装着し、振動を伝えることで骨導を利用します。BAHAと同様に外耳道を使用しないため、耳漏患者に適応します。BAHAよりも非侵襲的で、手術不要という利点があります。 e. 人工内耳 ❌ 誤り。人工内耳は「感音難聴」に対する適応です。本症例は「伝音難聴」であり、蝸牛神経・中枢聴覚系は正常と考えられます。したがって人工内耳の適応にはなりません。また、慢性中耳炎による耳漏が活動的に続く状態では、手術感染リスク増加のため、むしろ禁忌に近い状態です。 --- 【試験対策ポイント】 補聴手段の選択フローチャート 難聴の種類と外耳道の状態から判定: | 難聴タイプ | 外耳道正常 | 外耳道異常・耳漏 | |---|---|---| | 感音難聴(軽~中度) | 気導補聴器(BTE・RIC等) | 気導補聴器 | | 感音難聴(高度~重度) | 人工内耳 | 人工内耳 | | 伝音難聴 | 気導補聴器OR骨導 | **骨導のみ(BAHA・軟骨伝導)** | | 混合難聴 | 気導補聴器 | 骨導(適応あればBAHA等) | 重要な否定知識: - BAHAは「健聴耳が必要」ではなく、両耳とも伝音難聴でも適応可 - 人工内耳は感音難聴の器で、伝音難聴には無効 - 耳漏が続く場合、気導補聴器の長期装用は衛生管理困難 骨導補聴器の分類: - BAHA:インプラント
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