第27回 言語聴覚士国家試験 第123問
臨床神経学第27回
右顔面神経麻痺でみられる症状として誤っているのはどれか。
- 1.右瞳孔が散大する。 ✓
- 2.右眼が乾燥する。
- 3.右耳で音が大きく聞こえる。
- 4.右ロ角から水が漏れる。
- 5.舌右側の味覚が低下する。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 右瞳孔が散大する。
顔面神経(Ⅶ)は瞳孔散大を支配していません。瞳孔散大は動眼神経(Ⅲ)の副交感線維が支配する瞳孔散大筋(交感神経支配)と対をなすもので、顔面神経麻痺では瞳孔に変化は生じません。右顔面神経麻痺では、涙腺・上唇挙筋・眼輪筋・口輪筋など表情筋が障害されますが、瞳孔反応は保持されます。
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【各選択肢の解説】
1. 右瞳孔が散大する。
❌ 誤り。瞳孔散大は動眼神経(Ⅲ)の交感線維と副交感線維の相互作用で制御されるため、顔面神経(Ⅶ)麻痺では瞳孔に変化は起きません。これが本問の正答根拠です。
2. 右眼が乾燥する。
✅ 正しい。顔面神経は大浅錐体神経を経由して涙腺を副交感神経支配するため、顔面神経麻痺では涙液分泌が低下し、眼球乾燥が生じます。Schirmerテストで分泌量低下を確認できます。
3. 右耳で音が大きく聞こえる。
✅ 正しい。顔面神経はアブミ骨筋(stapes)を支配しており、麻痺によってアブミ骨筋反射が消失します。結果として高周波音の減衰機構が失われ、患側耳で音が過剰に聞こえる現象(聴覚過敏、hyperacusis)が生じます。
4. 右口角から水が漏れる。
✅ 正しい。顔面神経は口輪筋(orbicularis oris)を支配しているため、麻痺側では筋力低下により口角が下垂し、飲食時に患側口角から液体が漏れます。これは末梢性顔面神経麻痺の典型的な症状です。
5. 舌右側の味覚が低下する。
✅ 正しい。顔面神経は舌前2/3の味覚を担う鼓索神経を含んでいるため、麻痺側(右側)舌前2/3の味覚が低下します。舌后1/3の味覚は舌咽神経(Ⅸ)支配のため、顔面神経麻痺では変わりません。
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【試験対策ポイント】
顔面神経(Ⅶ)と動眼神経(Ⅲ)の区別
| 機能 | 顔面神経(Ⅶ) | 動眼神経(Ⅲ) |
|---|---|---|
| **瞳孔** | 支配せず | 瞳孔散大筋を副交感支配 |
| **涙腺** | 副交感支配(大浅錐体神経) | 支配しない |
| **アブミ骨筋** | 支配する | 支配しない |
| **舌前2/3味覚** | 支配する(鼓索神経) | 支配しない |
| **表情筋** | 支配する | 支配しない |
顔面神経麻痺の5大症状
- 涙液分泌低下(眼乾燥)
- 口角下垂(飲食時漏出)
- 耳介後部疼痛
- 味覚低下(舌前2/3)
- 聴覚過敏(アブミ骨筋反射消失)
紛らわしい知識
- 「瞳孔散大」は顔面神経麻痺では起きない(Horner症候群では瞳孔縮小)
- 舌后1/3の味覚低下は舌咽神経(