第27回 言語聴覚士国家試験 第133問
言語発達学第27回
幼児期の認知の特徴でないのはどれか。
- 1.実在論
- 2.転導論理
- 3.アニミズム
- 4.自己中心性
- 5.可逆的思考 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 可逆的思考
幼児期(前操作期)の認知の特徴は「非可逆的思考」です。可逆的思考はピアジェの具体的操作期(7~11歳)以降に発達する能力であり、幼児期には見られません。
---
【各選択肢の解説】
1. 実在論
✅ 正しい。幼児は物理的性質のない抽象的なもの(雲・風・夢など)を実在する物として扱う特徴です。幼児期前操作期の典型的認知バイアスです。
2. 転導論理
✅ 正しい。特殊から特殊へ論理を進める思考様式(「Aは赤い。Bも赤い。だからAとBは同じ性質を持つ」)で、帰納的・演繹的思考の発達以前の段階です。
3. アニミズム
✅ 正しい。人間でない物体(月・川・人形など)に意識や意図・生命があると考える特徴です。ピアジェが幼児期の代表的な認知特性として報告しています。
4. 自己中心性
✅ 正しい。他者の視点を理解できず、自分の視点が唯一絶対と考える特徴です。「3つの山課題」で検証され、幼児期前操作期の代表的な認知特性です。
5. 可逆的思考
❌ 誤り。可逆的思考(ある操作を逆向きに実行して元の状態に戻す論理的思考)はピアジェの具体的操作期に発達する能力であり、幼児期には見られません。幼児は非可逆的思考が主です。
---
【試験対策ポイント】
ピアジェの認知発達段階と各段階の特徴
| 段階 | 時期 | 代表的認知特徴 | 欠如する能力 |
|---|---|---|---|
| 感覚運動期 | 0~2歳 | 対象永続性の発達 | 表象・言語 |
| 前操作期(幼児期) | 2~7歳 | 実在論・アニミズム・転導論理・自己中心性・非可逆的思考 | 可逆的思考・保存概念 |
| 具体的操作期 | 7~11歳 | 可逆的思考・保存概念・脱中心化 | 抽象的思考 |
| 形式的操作期 | 11歳~ | 抽象的・仮説演繹的思考 | — |
幼児期の「否定形」知識(試験で狙われやすい)
- 可逆的思考:見られない
- 保存概念:未発達(量の保存課題で失敗)
- 脱中心化:できない(1つの視点に固着)
- 論理的推論:不十分(転導論理に頼る)
キーワード
- 実在論:非生物への擬人化(太陽が「怒っている」)
- アニミズム:全ての物に心や意識がある
- 自己中心性:「他者も同じものが見えている」と仮定