第27回 言語聴覚士国家試験 第134問
生涯発達心理学第27回
正しいのはどれか
a.高齢者のレジリエンスはうつ発症を防ぐ要因の一つである。
b.高齢者全体における軽症うつの割合は1割程度である。
c.高齢者はストレスに対して、あるがままに受け入れるよりも積極的に解消しようとする傾向が強い。
d.高齢者では過去の回想は現実逃避や過去を悔やむ行為であり、うつ発症を促進する。
e.高齢期はうつ発症のきっかけになるライフィベントが多い。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
高齢者のレジリエンス(回復力)はストレスやネガティブな出来事に直面した際に適応できる力であり、うつ発症を防ぐ重要な心理社会的要因です。また高齢期は退職・配偶者の喪失・健康問題など複数のライフイベントが集中し、それらがうつ発症のきっかけになることが知られています。
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【各選択肢の解説】
a. 高齢者のレジリエンスはうつ発症を防ぐ要因の一つである。
✅ 正しい。レジリエンスは心理的柔軟性や困難への対処能力を示し、高齢者においてもこれが高いほどうつ症状の出現が低くなることが報告されています。ストレスフルなライフイベント後の回復を促進します。
b. 高齢者全体における軽症うつの割合は1割程度である。
❌ 誤り。高齢者における軽症うつの割合は15~20%程度とより高いとされています。1割という数字は過小評価であり、実際には相当数の高齢者が軽症うつ状態にあります。
c. 高齢者はストレスに対して、あるがままに受け入れるよりも積極的に解消しようとする傾向が強い。
❌ 誤り。高齢者のストレス対処スタイルの特徴は「受動的受容」「あるがままに受け入れる傾向」です。むしろ若年者に比べて問題焦点的(積極的)対処よりも情動焦点的(受容的)対処を選択しやすいとされています。
d. 高齢者では過去の回想は現実逃避や過去を悔やむ行為であり、うつ発症を促進する。
❌ 誤り。高齢期における過去の回想は「人生回顧」として適応的な心理過程です。Eriksonの発達段階論でも高齢期は「自分の人生を統合する」段階とされ、意図的な回想はアイデンティティ確立を促進し、むしろメンタルヘルスに好影響を与えます。
e. 高齢期はうつ発症のきっかけになるライフイベントが多い。
✅ 正しい。退職(役割喪失)、配偶者・親友の死(喪失体験)、慢性疾患の増加、身体機能の低下など、うつ発症の引き金になるストレッサーが短期間に集中する時期です。これらの累積がうつリスクを高めます。
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【試験対策ポイント】
高齢期の心理社会的特徴(×××は誤りやすい)
| 概念 | 特徴 | 正誤判定 |
|---|---|---|
| レジリエンス | うつ予防因子として機能する | ✅ |
| ストレス対処 | 受容的・受動的対処が優位 | ✅ |
| 人生回顧 | 適応的な発達過程(統合)| ✅ |
| 現実逃避としての回想 | 病的と考えるのは誤解 | ❌ |
| ライフイベント | 退職・喪失・疾患が集中 | ✅ |
| 軽症うつ割合 | 15~20%程度 | ✅ |
紛らわしい点:「高齢者の過去回想」は現実逃避ではなく、Eriksonやその後の回想療法研究でも「統合」「適応」を促すものとして捉えられています。過去を悔やむのではなく、人生全体を意味づけるプロセスです。