STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第27回 言語聴覚士国家試験 第151問

関係法規第27回
言語モダリティについて正しいのはどれか
  1. 1.復唱の回路は読解の回路を含む。
  2. 2.音読の回路は聴覚的理解の回路を含む。
  3. 3.書取の回路は読解の回路を含む。
  4. 4.写字の回路は復唱の回路を含む。
  5. 5.発話の回路は意味を音声言語化し、発声発語器官で出力する。 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 発話の回路は意味を音声言語化し、発声発語器官で出力する。 発話は、思考や概念といった意味表現を脳内で言語化(音韻符号化)し、その音韻計画を実際の声帯振動や調音運動(発声発語器官)で実現する過程です。つまり「意味→音韻→運動出力」という一方向の経路を辿るため、他の言語モダリティの回路を前提としません。この記述が言語心理学における発話プロセスの標準的な説明に最も合致します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 復唱の回路は読解の回路を含む。 ❌ 誤り。復唱は「音声言語入力→音韻的保持→音声出力」という経路で、意味理解(読解に必要な経路)を必須としません。実際、意味不明な造語でも復唱は可能です。伝導失語では理解は保たれながら復唱が障害されるという臨床所見からも、この2つの回路は独立していることがわかります。 2. 音読の回路は聴覚的理解の回路を含む。 ❌ 誤り。音読は「文字視覚入力→音韻化→音声出力」で、音声を「聴く」必要がありません。聴覚的理解回路は入力されてきた音声言語を処理する別の回路です。音読と聴覚理解は並行しますが、音読が聴覚理解を「含む」わけではありません。 3. 書取の回路は読解の回路を含む。 ❌ 誤り。書取は「音声言語入力→音韻認識→文字変換→手指運動→文字出力」で完結し、意味理解(読解)を経由しません。意味不明な造語の書取が可能なことからも、読解回路は必須ではないとわかります。 4. 写字の回路は復唱の回路を含む。 ❌ 誤り。写字は「文字視覚入力→視覚的保持→手指運動→文字出力」という視覚的経路で、音韻を介さない純粋な視覚-運動変換です。復唱(音韻的処理を伴う)とは全く異なる回路です。失読症(写字は保持)と失語症の解離例からもこの独立性が示されます。 5. 発話の回路は意味を音声言語化し、発声発語器官で出力する。 ✅ 正しい。発話プロセスは「意味(概念)→音韻符号化→プロソディー附与→運動計画→発声発語器官での実行」という明確な順序立った流れであり、他のモダリティ(読解・聴覚理解・読字など)を含みません。中枢言語処理として最も本質的で基本的な経路です。 --- 【試験対策ポイント】 言語心理学における各モダリティの回路の独立性 | モダリティ | 入力形式 | 中枢処理 | 出力形式 | 意味理解の必須性 | |---|---|---|---|---| | 発話 | 内的意味 | 音韻符号化 | 音声言語 | ○必須 | | 復唱 | 音声言語 | 音韻的保持 | 音声言語 | ✕不要 | | 音読 | 文字視覚 | 音韻化 | 音声言語 | ✕不要 | | 写字 | 文字視覚 | 視覚-運動変換 | 文字出力 | ✕不要 | | 書取 | 音声言語 | 音韻-文字変換 | 文字出力 | ✕不要 | | 読解 | 文字視覚 | 意味抽出 | 内的意味 | ○必須 | 重要な臨床知見: -
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