STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第27回 言語聴覚士国家試験 第157問

失語症第27回
単語の意味理解が低下している失語症者において困難なのはどれか a.語音認知 b.統語理解 c.単語復唱 d.文章読解 e.漢字単語書取 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — d.文章読解、e.漢字単語書取 単語の意味理解が低下している失語症者にとって、文章読解と漢字単語書取は特に困難になります。意味理解の障害は「理解」という認知レベルの障害であり、単語の概念や意味にアクセスできない状態では、複数の単語から構成される文章や表意文字である漢字の処理が著しく障害されるためです。 --- 【各選択肢の解説】 a.語音認知 ❌ 誤り。語音認知は音韻処理(音の弁別)であり、意味理解の低下とは別の問題です。Wernicke失語では流暢に語音認知するが意味を理解できないという乖離が典型的です。 b.統語理解 ❌ 誤り。統語理解(文法構造の理解)は意味理解の層位が異なり、特にBroca失語で相対的に障害されます。意味理解のみ低下している場合、統語理解は比較的保たれることもあります。 c.単語復唱 ❌ 誤り。復唱は「聴いた音を反復する」音韻処理であり、意味理解を必要としません。伝導失語で復唱が著しく障害されるのは、意味理解は良好だからこその乖離です。 d.文章読解 ✅ 正しい。文章読解には複数の単語の意味を統合して全体の意味を構成する必要があります。意味理解が低下すれば、個々の単語の意味にアクセスできないため、文全体の意味理解も著しく困難になります。 e.漢字単語書取 ✅ 正しい。漢字は表意文字であり、その字形と意味が直結しています。単語の意味理解が低下していれば、その意味を表す漢字を想起・書取することが極めて困難になります。ひらがな仮名文字は音韻的処理で書取可能な場合がありますが、漢字は異なります。 --- 【試験対策ポイント】 失語症と「処理レベル」の対応関係 | 処理レベル | 保たれやすい失語症 | 障害されやすい失語症 | |---|---|---| | 音韻認知 | Broca失語 | Wernicke失語 | | 意味理解 | Broca失語 | Wernicke失語、命名失語 | | 文法・統語 | Wernicke失語 | Broca失語 | | 復唱 | 超皮質性失語群 | 伝導失語、全失語 | 意味理解が低下した場合の困難パターン - 困難:文章読解、漢字書取、語彙理解を要する作業全般 - 比較的保たれる:音韻復唱、音韻認知、統語的な「型」の処理 キーワード:「意味理解の低下」→「概念へのアクセス障害」→「意味に依存する課題で困難」
関連

▶ 第27回 全問一覧

▶ 失語症 の過去問一覧