第27回 言語聴覚士国家試験 第159問
失語症第27回
失語症の訓練について誤っているのはどれか。
a.言語機能の訓練は個人因子を考慮する。
b.生活期には参加への支援が必要である。
c.家族など周囲に対して助言指導を行う。
d.急性期には言語機能訓練に集中する。
e.代償手段の活用は言語機能の改善を待って行う。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d,e
失語症の訓練は「全経過を通じた段階的アプローチ」が原則です。急性期から生活期まで、各段階で適切な介入内容が異なります。d「急性期には言語機能訓練に集中する」は誤りで、急性期は安定化・基礎的評価が優先であり、本格的な言語訓練は亜急性期以降です。また、e「代償手段の活用は言語機能の改善を待って行う」も誤りで、代償手段(筆談・ジェスチャー・AAC機器など)は早期から並行して導入し、コミュニケーション機会を逃さないことが重要です。
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【各選択肢の解説】
a. 言語機能の訓練は個人因子を考慮する。
✅ 正しい。年齢・教育歴・認知機能・病前言語使用背景・動機付けなどの個人因子によって、訓練内容・進め方・予後は大きく異なります。ICFの「個人因子」の重要性がST実践の基本です。
b. 生活期には参加への支援が必要である。
✅ 正しい。生活期は「言語機能の改善」よりも「社会的参加」「QOL向上」が主目標となります。就労支援・地域活動参加・家族交流など、環境調整と参加機会の創出が重要な役割です。
c. 家族など周囲に対して助言指導を行う。
✅ 正しい。失語症患者のコミュニケーションパートナーである家族への対話方法指導(ゆっくり話す・単語選択・待つ態度など)は、STの重要な職務です。患者中心の支援には周囲の理解が不可欠です。
d. 急性期には言語機能訓練に集中する。
❌ 誤り。急性期(発症直後~4週間程度)は、患者の全身状態が不安定で、医学的管理が優先です。この時期のST役割は「安定化の確認」「基礎評価」「摂食嚥下管理」であり、本格的な言語機能訓練は亜急性期(1~3ヶ月)以降に開始します。
e. 代償手段の活用は言語機能の改善を待って行う。
❌ 誤り。代償手段(筆談・ジェスチャー・ボード・AAC機器など)は発症直後から並行導入すべきです。言語回復を待つ間も「今ここ」のコミュニケーション機会が必須であり、代償手段で参加機会を確保することが予後改善にも繋がります。
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【試験対策ポイント】
失語症訓練の「時期別アプローチ」の整理:
| 時期 | 主な目標 | ST役割 |
|---|---|---|
| 急性期(0~4週) | 全身状態の安定化 | 評価・嚥下管理・基礎観察 |
| 亜急性期(1~3ヶ月) | 言語機能の回復 | 言語機能訓練(本格始まり) |
| 回復期(3ヶ月~1年) | 機能の最大化 | 言語訓練+社会復帰準備 |
| 生活期(1年以降) | 社会参加・QOL | 参加支援・環境調整 |
代償手段の「早期導入」の意義:
• 即座のコミュニケーション確保
• 心理的安定の獲得
• 参加機会の損失防止
• 言語機能回復の促進(相互作用説)
ICFの視点:「言語機能改善」だけでなく「活動・参加」の支援が成功の鍵