第27回 言語聴覚士国家試験 第161問
高次脳機能障害第27回
脳梁損傷で出現する症候はどれか。
- 1.健忘
- 2.拮抗失行 ✓
- 3.把握反射
- 4.観念性失行
- 5.肢節運動失行
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 拮抗失行
脳梁損傷によって左右の大脳半球間の神経線維が遮断されると、優位半球(左半球)の指令が非優位半球(右半球)に伝わらなくなります。その結果、左半身(右脳支配)の随意運動が優位半球の意志に従わない「拮抗失行」が出現します。特に左手が右手の動きに逆行する不随意運動を示すことが特徴的です。
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【各選択肢の解説】
1. 健忘
❌ 誤り。健忘は視床下部や乳頭体などの脳梁以外の部位の損傷で出現します。脳梁損傷では記憶機能そのものは保たれるため、健忘は主徴ではありません。
2. 拮抗失行
✅ 正しい。脳梁損傷(特に膝部・体部)により左右半球の連絡が遮断されると、一方の手(通常は左手)が他方の手の動きに反抗する拮抗失行が出現します。脳梁損傷の代表的症候です。
3. 把握反射
❌ 誤り。把握反射は前頭葉(特に補足運動野)の損傷で出現する原始反射です。脳梁損傷では見られません。
4. 観念性失行
❌ 誤り。観念性失行は頭頂葉や側頭葉の損傷で、観念(行為の概念)が損なわれることで出現します。脳梁損傷による半球間の非連絡とは異なるメカニズムです。
5. 肢節運動失行
❌ 誤り。肢節運動失行(肢節失行)は小脳や脳幹の損傷で出現する協調運動障害です。脳梁損傷では出現しません。
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【試験対策ポイント】
失行症の分類と損傷部位
| 失行の種類 | 損傷部位 | 症状 |
|---|---|---|
| 拮抗失行 | 脳梁(膝部・体部) | 左手が右手に反抗する |
| 観念性失行 | 頭頂葉・側頭葉 | 行為の概念喪失 |
| 観念運動失行 | 運動野・脳梁 | 命令には従えないが自動的には可能 |
| 肢節運動失行 | 小脳・脳幹 | 協調運動不全(測定異常) |
| 把握失行 | 頭頂葉 | 物体の把握能力喪失 |
脳梁の機能と損傷症候
- 脳梁は左右半球の唯一の連絡路(約2億本の神経線維)
- 膝部損傷:感覚情報の交叉遮断+拮抗失行
- 体部損傷:運動指令の交叉遮断+拮抗失行
- 脾部損傷:視覚情報の交叉遮断+裂脳症状
紛らわしい区別法
把握反射と拮抗失行の区別:把握反射は「呼び出される反射」。拮抗失行は「意志に逆行する運動」。