第27回 言語聴覚士国家試験 第175問
音声障害第27回
喉頭摘出者について誤っているのはどれか。
- 1.嗅覚が鈍い。
- 2.誤嚥をしやすい。 ✓
- 3.鼻をかむことが難しい。
- 4.強くいきむことが難しい。
- 5.飲食物を口にすすり込むことが難しい。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 誤嚥をしやすい。
喉頭摘出者は気道と食道が分離されるため、むしろ誤嚥のリスクは低下します。喉頭摘出の主な目的の一つが、誤嚥の防止にあるほどです。喉頭全摘出により、嚥下時に声帯が閉鎖して気管を保護する機能は失われますが、食物が気管に入るルート自体が遮断されているため、誤嚥は起こりにくくなります。
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【各選択肢の解説】
1. 嗅覚が鈍い。
✅ 正しい。喉頭摘出後は気管に直接開口する永久気管孔が形成され、鼻を通る呼気流が減少します。嗅覚は鼻腔の嗅上皮への気流による刺激が必要なため、嗅覚が低下します。
2. 誤嚥をしやすい。
❌ 誤り。喉頭摘出により気道と食道が完全に分離されるため、誤嚥のリスクは大幅に低下します。これは喉頭摘出の重要な利点の一つです。
3. 鼻をかむことが難しい。
✅ 正しい。喉頭摘出者は気流が気管孔から出るため、鼻腔内の圧を上げて鼻をかむことが困難になります。鼻が詰まった場合の対処が限定されます。
4. 強くいきむことが難しい。
✅ 正しい。いきみには腹腔内圧の上昇が必要で、これは声帯を閉鎖して気流を遮断することで効果的に行われます。喉頭摘出者は声帯がないため、腹腔内圧を十分に上げられず、排便や持ち上げ動作が困難になります。
5. 飲食物を口にすすり込むことが難しい。
✅ 正しい。口腔内に陰圧を作ってすすり込む動作には、鼻を吸気で通すか口からの吸気で陰圧を作る必要があります。喉頭摘出者は鼻からの呼気量が減少し、また口での吸気も制限されるため、液体や食物をすすり込みにくくなります。
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【試験対策ポイント】
喉頭摘出の生理学的影響
| 機能 | 変化 | 理由 |
|---|---|---|
| 誤嚥リスク | ↓ 低下 | 気道と食道が完全分離 |
| 嗅覚 | ↓ 低下 | 鼻腔への気流減少 |
| 鼻かみ | 困難 | 鼻腔圧上昇が不可能 |
| いきみ | 困難 | 声帯閉鎖による気流遮断が不可 |
| すすり込み | 困難 | 吸気圧(陰圧)形成が困難 |
出題の着眼点:「喉頭摘出 = 誤嚥防止」という医学的利点を理解しているか。「誤嚥をしやすい」は全くの逆であり、合併症や生活上の制限は他にある。
紛らわしい知識との区別:
- 声帯麻痺(特に両側外転麻痺)→ 気管狭窄で呼吸困難
- 喉頭摘出 → 呼吸困難なし、誤嚥リスクなし、ただし発声不能・嗅覚低下・いきみ困難