第27回 言語聴覚士国家試験 第189問
聴覚系第27回
ムンプス難聴について正しいのはどれか。
- 1.薬剤による治療が有効である。
- 2.難聴は軽度である。
- 3.先天性難聴である。
- 4.ムンプスワクチンは定期接種である。
- 5.成人でも発症する。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 成人でも発症する。
ムンプス難聴は、流行性耳下腺炎(ムンプス)ウイルスによる感染性難聴で、成人を含む全年齢で発症する可能性があります。ムンプスワクチンの接種率が低い地域や、接種後の免疫喪失者においても発症リスクがあり、これは小児だけに限定されない重要な臨床特性です。
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【各選択肢の解説】
1. 薬剤による治療が有効である。
❌ 誤り。ムンプス難聴に対する有効な特異的治療法は確立されていません。ステロイド投与等が試みられることはありますが、すでに生じた聴力低下に対する回復効果は限定的です。本質的には対症療法となります。
2. 難聴は軽度である。
❌ 誤り。ムンプス難聴は高度〜全壊聴の重度難聴になることが多く、軽度ではありません。特に感音難聴として両耳性(一側性も多い)に出現し、突発性感音難聴と異なり予後不良です。
3. 先天性難聴である。
❌ 誤り。ムンプス難聴は後天性難聴です。ただし先天性難聴の原因(TORCH感染症)としてムンプスウイルスが挙げられることはありますが、通常の「ムンプス難聴」は発症した時点での年齢に関わらず後天的な難聴です。
4. ムンプスワクチンは定期接種である。
❌ 誤り。日本ではムンプスワクチン(MMRまたはMR単独)は「定期接種」ではなく「任意接種」です。定期接種はMR(麻疹・風疹混合)であり、ムンプスは含まれていません。接種率が不十分であることがムンプス難聴の予防上の課題となっています。
5. 成人でも発症する。
✅ 正しい。ムンプスは年齢制限がなく成人でも感染します。ワクチン接種率が低い地域での流行や、接種後の免疫低下により成人でもムンプスを発症し、その結果として難聴が出現することがあります。
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【試験対策ポイント】
【ムンプス難聴の臨床特性】
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 発症年齢 | 全年齢(小児>成人だが成人でも発症) |
| 難聴の程度 | 高度~全壊聴が多い(軽度ではない) |
| 聴覚型 | 感音難聴(内耳障害) |
| 側性 | 両耳性が多いが一側性も存在 |
| 予後 | 不良(多くが回復しない) |
| 治療 | 有効な特異的治療法なし |
【感染性難聴の主な原因との区別】
- ムンプス難聴:後天性、成人でも発症、高度難聴多い
- 先天性風疹症候群:先天性、新生児期より難聴、感音難聴
- TORCH感染症:先天性が中心(先天性ムンプス難聴は稀)
【重要:定期接種と任意接種の区別】
- 定期接種:MR(麻疹・風疹)、ジフテリア・百日咳・ポリオ、インフルエンザb型菌など
- 任意接種:ムンプス(MMRに含まれるがMR単独)、水痘、おたふく風邪など
【試験での頻出ポイント】
- 「成人でも発症する」=年齢層が広い=公衆衛生的課題
- ワクチン予防接種率の低さがムンプス流行の背景