第27回 言語聴覚士国家試験 第191問
聴力検査第27回
ASSR(聴性定常反応)で誤っているのはどれか。
a.小児には80IIzASSRを用いる。
b.周波数別の閾値を評価できる。
c.低音域に比べて高音域の誤差は少ない。
d.刺激音にはトーンバーストを用いる。
e.ABRに比べて検査時間を短縮できる。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d,e
ASSR(聴性定常反応)は、AM変調されたトーンバースト刺激に対する脳幹の定常反応を記録する検査です。周波数別の閾値評価が可能で、小児検査に有用ですが、刺激音の種類と検査時間については誤解しやすい点があります。
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【各選択肢の解説】
a.小児には80IIzASSRを用いる。
✅ 正しい。80Hzという調整周波数(キャリア周波数)でのAM変調刺激がASSRの標準です。小児はABRが実施困難な場合が多いため、ASSR(特に80Hz)は小児の聴覚評価に有用とされています。
b.周波数別の閾値を評価できる。
✅ 正しい。ASSRは複数周波数(通常0.5~8kHz)で同時に刺激でき、周波数別の閾値を比較的短時間で評価できます。これがABRとの大きな利点です。
c.低音域に比べて高音域の誤差は少ない。
✅ 正しい。ASSR検査では高音域ほど信号対雑音比が良好で、低音域では測定誤差が大きくなります。これはハードウェアと信号処理特性による既知の特性です。
d.刺激音にはトーンバーストを用いる。
❌ 誤り。ASSRではトーンバーストではなく、AM(振幅変調)されたキャリア周波数を使用します。AM変調周波数(通常80Hz)の包絡に同期した脳活動を記録するため、純粋なトーンバースト刺激ではありません。
e.ABRに比べて検査時間を短縮できる。
❌ 誤り。むしろASSRはABRと同等かそれ以上の時間を要する場合が多いです。複数周波数を評価する場合、加算回数や信号判定に時間がかかり、「時間短縮」という利点はABRに対してありません。
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【試験対策ポイント】
ABRとASSRの比較表
| 項目 | ABR | ASSR |
|---|---|---|
| 刺激音 | クリック音、トーンバースト | AM変調音(キャリア周波数) |
| 反応 | 脳幹反応(1~10ms) | 脳幹の定常反応(位相同期) |
| 周波数特異性 | 低い(クリック音) | 高い(複数周波数同時) |
| 検査時間 | 15~30分 | 20~40分(長くなることもある) |
| 小児適用 | 困難(反応解釈が難しい) | 有用(客観的判定可能) |
| 高音域誤差 | 一定 | 少ない |
| 低音域誤差 | 一定 | 大きい |
重要否定知識:
- ASSRが「時間短縮できる」は誤った理解
- ASSRの刺激音は「トーンバースト」ではなく「AM変調音」
- ASSRは周波数別評価が得意だが、全周波数で等しい精度ではない