第27回 言語聴覚士国家試験 第193問
聴力検査第27回
難聴児のセルフアドボカシー指導で適切なのはどれか。
a.難聴の非開示
b.他人に代弁を依頼
c.自尊感情の育成
d.保護者の難聴理解
e.コミュニケーションストラテジーの活用
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — c.自尊感情の育成、d.保護者の難聴理解、e.コミュニケーションストラテジーの活用
セルフアドボカシーとは、難聴児自身が自分のニーズを認識し、周囲に主張・説明できる力を育成する指導です。そのためには「自分の難聴を受け入れ、自分で対処する力」(c・e)と、家族をはじめとした周囲の理解(d)が不可欠です。一方、難聴を隠すこと(a)や他者への代弁依頼(b)は、本人の主体性と自立を損なうため不適切です。
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【各選択肢の解説】
a. 難聴の非開示
❌ 誤り。セルフアドボカシーの中核は「自分の難聴を認識し、肯定的に受け入れ、それを周囲に説明する」ことです。難聴を隠すことは、むしろ本人の心理的負担を増やし、自立支援の妨げになります。
b. 他人に代弁を依頼
❌ 誤り。セルフアドボカシーは「本人が自分自身を代弁する」ことが目的です。常に他者に頼ることは、本人の主体性・自立性を育まず、長期的には自己決定能力の発達を阻害します。
c. 自尊感情の育成
✅ 正しい。難聴を肯定的に受け入れ、「難聴があっても自分は価値がある」という自尊感情を育てることが、セルフアドボカシーの基盤です。これにより本人は積極的に自分のニーズを表現できるようになります。
d. 保護者の難聴理解
✅ 正しい。保護者が難聴を正しく理解し、本人の自立支援に協力することは、セルフアドボカシー育成に不可欠な環境整備です。保護者の過保護や否定的態度は、本人の自己主張を萎縮させます。
e. コミュニケーションストラテジーの活用
✅ 正しい。聞き返し、ゆっくり話してもらう依頼、筆談など、自分のニーズに応じたコミュニケーション方法を選択・活用できる力は、セルフアドボカシーの実践的スキルです。
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【試験対策ポイント】
セルフアドボカシー育成の6つの要素:
| 要素 | 具体的内容 | 試験での選択肢化されやすさ |
|---|---|---|
| 自己認識 | 自分の難聴レベル・ニーズを理解 | 高(難聴の受容が前提) |
| 自尊感情 | 自分を肯定的に評価 | 高(c対応) |
| 権利意識 | 自分の権利を知る・主張する | 中(相談・配慮要求) |
| コミュニケーション技能 | ストラテジー・説明能力 | 高(e対応) |
| 意思決定能力 | 自分で選択・決定する | 中(将来計画・職業選択など) |
| 環境サポート | 家族・学校の理解と支援 | 高(d対応) |
「非開示」「代弁依頼」が不適切な理由:
- 難聴を「隠すべき欠点」として扱う→本人の否定的自己像につながる
- 常に他者に頼る→「自分で対処する力」の放棄
- 結果的に、長期的な社会参加・職業適応を困難にする
難聴児のセルフアドボカシー指導は「障害受容教育」と同義語。医学的な難聴対応だけでは不十分であり、心理社会的自立支援が同等に重要です。