第27回 言語聴覚士国家試験 第60問
失語症第27回
失語症の機能改善について誤っているのはどれか
- 1.発症時の失語症重症度が関係する
- 2.言語訓練の質と量とが関係する
- 3.病巣周辺の脳領域が関与する
- 4.病巣対側の脳領域が関与する
- 5.発症から数日以内の回復は小さい ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 発症から数日以内の回復は小さい
発症直後(特に数日以内)の回復は実際には比較的大きいです。失語症の自然回復は急性期(発症後2〜4週間)に最も顕著で、その後徐々に緩やかになります。この時期には浮腫の軽減や神経可塑性による急速な改善が生じるため、「回復は小さい」という記述は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 発症時の失語症重症度が関係する
✅ 正しい。発症時の重症度が軽度であるほど、その後の予後が良好である傾向があります。重症度は機能改善の予測因子の一つです。
2. 言語訓練の質と量とが関係する
✅ 正しい。言語療法士による適切な質の高い訓練と、訓練の頻度・量(量的な関与)の両方が改善効果に影響します。これは失語症リハビリテーションの基本原理です。
3. 病巣周辺の脳領域が関与する
✅ 正しい。脳画像研究により、損傷部位周辺の脳領域の活性化が言語機能の回復に関与することが明らかになっています。神経可塑性によって周辺領域の代償機能が促進されます。
4. 病巣対側の脳領域が関与する
✅ 正しい。特に右利きの患者で左半球が損傷を受けた場合、右半球が代償的に活性化され、機能改善に関与することが報告されています。これも神経可塑性のメカニズムの一つです。
5. 発症から数日以内の回復は小さい
❌ 誤り。失語症の回復経過は発症直後(数日以内)が最も急速であり、むしろこの時期に大きな改善が見られます。その後は回復速度が徐々に低下していく傾向があります。
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【試験対策ポイント】
失語症の予後・回復に影響する因子(重要):
| 好予後因子 | 不良予後因子 |
|---|---|
| 発症時重症度が軽度 | 発症時重症度が重度 |
| 年齢が若い | 年齢が高齢 |
| 病巣が小さい | 病巣が大きい |
| 言語訓練を早期・充分に実施 | 訓練の開始が遅い・量が少ない |
| 高い動機付け | 低い動機付け |
| 高い教育水準 | 低い教育水準 |
失語症の自然回復の時間経過:
- 発症直後〜数日:急速な改善(浮腫軽減)
- 1〜4週間:著明な回復(最も回復が期待できる時期)
- 数ヶ月〜1年:緩やかに改善
- 1年以降:安定期(ただし訓練で微細な改善は可能)
「発症から数日以内」という表現に惑わされずに、実際の臨床経過を理解することが重要です。発症直後は脳浮腫の軽減による自動回復が大きく、最初の数週間が予後決定的な時期となります。