第27回 言語聴覚士国家試験 第61問
失語症第27回
失語症者とのコミュニケーションの取り方について適切でないのはどれか
a.心情や意思を推測する
b.音節ごとに区切って話す
c.発話の誤りをその都度訂正する
d.話題に関連するキーワードを文字で示す
e.失語症者が利用する伝達手段を言語聴覚士も使用する
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b、c
失語症者とのコミュニケーションにおいて、「音節ごとに区切って話す」「発話の誤りをその都度訂正する」という2つの対応は、ともに不適切です。前者は失語症者を小児や知的障害者扱いする不尊重な対応であり、後者は患者の心理的ストレスを増加させ、コミュニケーションそのものを阻害します。
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【各選択肢の解説】
a. 心情や意思を推測する
✅ 正しい。失語症者が表出困難な場合、その心情や意思を推測・補完してサポートすることは、効果的なコミュニケーション支援の基本です。完全な理解を待つのではなく、相手の背景知識や文脈から推測する対応が求められます。
b. 音節ごとに区切って話す
❌ 誤り。失語症者は通常の聴覚は保持しているため、音節ごとに区切られた話し方は「相手を下に見ている」という不尊重なメッセージを伝え、患者の自尊心を損ないます。むしろ自然な速度で、ゆっくり、短く簡潔に話すことが適切です。
c. 発話の誤りをその都度訂正する
❌ 誤り。誤りの都度訂正されることは、失語症者に心理的プレッシャーを与え、さらに発話意欲を低下させます。コミュニケーション場面では「内容の理解」を優先し、訂正は最小限にとどめるべきです。
d. 話題に関連するキーワードを文字で示す
✅ 正しい。失語症のタイプによっては、聴覚理解よりも視覚的情報(文字)が有効な場合があります。キーワードを文字で示すことで、理解促進と円滑なコミュニケーションが期待できます。
e. 失語症者が利用する伝達手段を言語聴覚士も使用する
✅ 正しい。失語症者がジェスチャー・描画・文字など複数の伝達手段を駆使している場合、支援者がそれらを共有することで、対等なコミュニケーション関係を構築できます。相手の工夫に合わせる姿勢が重要です。
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【試験対策ポイント】
失語症者への接し方(5つの原則)
| 適切な対応 | 理由 |
|---|---|
| 自然な速度で、ゆっくり、短く話す | 聴覚は正常だが処理速度↓ |
| 完全な回答を待つ | 焦らせないことが重要 |
| 推測・補完してサポート | 背景知識から理解支援 |
| 視覚的情報(文字・図)を活用 | 補足情報として有効 |
| 患者の伝達手段を支援者も使用 | 対等な関係構築 |
不適切な対応(避けるべき)
| 不適切な対応 | 患者への影響 |
|---|---|
| 音節ごとに区切って話す | 不尊重・下に見られた感覚 |
| 誤りを都度訂正する | 心理的プレッシャー↑、発話意欲↓ |
| 小児扱いする話し方 | 自尊心損傷 |
重要な否定知識
失語症者は「聴力の問題ではない」ため、音節区切りや大声は無効です。「言語理解の問題」であることを常に意識することが支援の質を左右します。