STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第27回 言語聴覚士国家試験 第62問

高次脳機能障害第27回
海馬傍回の損傷で生じるのはどれか
  1. 1.相貌失認
  2. 2.色彩失認
  3. 3.街並失認 ✓
  4. 4.道順障害
  5. 5.着衣障害

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 街並失認 海馬傍回は視覚的文脈情報の統合に重要な領域です。損傷により、風景や街並みなど複雑な視覚場面の空間的配置を認識できなくなり、同じ環境での方向感覚喪失が起こります。これが街並失認(環境失認)です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 相貌失認 ❌ 誤り。紡錘状回(特に右側)の損傷で生じます。特に顔認識に特化した脳領域の障害です。海馬傍回ではなく、より下位の視覚関連領域の障害では起こりません。 2. 色彩失認 ❌ 誤り。紡錘状回の下部(特にV4領域の後方)の損傷が原因です。色彩知覚自体は保たれているが、色彩を認識・命名できない症状で、海馬傍回損傷とは直接関連しません。 3. 街並失認 ✅ 正しい。海馬傍回(海馬の隣接領域)は景色や空間的配置の統合処理に関わります。この領域の損傷により、複雑な風景の空間構造を理解できず、見慣れた景色でも方向感覚を失う環境失認が起こります。 4. 道順障害 ❌ 誤り。視覚的な認識ではなく、空間的ナビゲーション能力の障害で、海馬本体やその周辺領域(特に右後部海馬)の損傷が関わります。街並失認とは異なる機序です。 5. 着衣障害 ❌ 誤り。着衣失行で、頭頂葉(特に右側)の損傷による構成失行の一種です。視覚認識ではなく、衣服の配置を身体に対して正しく整える能力の障害で、海馬傍回の機能とは無関係です。 --- 【試験対策ポイント】 視覚認識障害の損傷部位と症状の関係(頻出・混同しやすい) | 症状 | 損傷部位 | 特徴 | |---|---|---| | 相貌失認 | 紡錘状回(両側、特に右) | 顔認識の特異的喪失 | | 色彩失認 | V4領域・紡錘状回下部 | 色知覚保持、命名不可 | | **街並失認** | **海馬傍回** | **環境の空間構造認識不可** | | 物体失認 | 側頭葉下部 | 物体の形態認識不可 | | 地誌的失見当 | 右角回・後部海馬 | 地図上の方向感覚喪失 | 重要な区別: - 海馬傍回:「環境」という複雑な視覚シーン全体の処理 - 紡錘状回:「顔」「色」など特定カテゴリーの認識 - 右頭頂葉:「空間的ナビゲーション」と「着衣動作」
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