第27回 言語聴覚士国家試験 第74問
言語発達障害学第27回
重症心身障害児の意思伝達に利用する場合に有用性が低いのはどれか
- 1.視線
- 2.脳波
- 3.呼気
- 4.心拍 ✓
- 5.随意運動
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 心拍
重症心身障害児は脳性麻痺などにより随意運動や音声表出が困難なため、代替コミュニケーション手段が必要です。心拍は自動調節されており、本人の意思的なコントロールが極めて困難で、意思伝達ツールとしての信頼性が低いため有用性が低いとされています。一方、視線・脳波・呼気・随意運動(筋肉の微動)は意思的に制御可能で、AAC(拡張・代替コミュニケーション)デバイスとして実装可能です。
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【各選択肢の解説】
1. 視線
✅ 正しい。視線追従技術(アイトラッキング)は重症心身障害児の意思伝達に有用です。目を動かすだけで意思表示が可能で、AAC機器に組み込まれています。装置の信頼性も高く、実臨床での使用実績が豊富です。
2. 脳波
✅ 正しい。脳波(EEG)ベースのBCI(ブレイン・コンピュータインターフェース)は、P300やSSSEP(定常状態体性感覚誘発電位)を利用した意思伝達が可能です。完全に寝たきりの患者でも応用が検討されており、有用性は認められています。
3. 呼気
✅ 正しい。呼気をトリガーとした意思伝達システムが開発されています。吸気と呼気の別、呼気の強さなどで複数の選択肢を表現できます。呼吸は一定程度意思制御可能で、有用性があります。
4. 心拍
❌ 誤り。心拍は自律神経により自動調節されており、意思的なコントロールが非常に困難です。生理的変動の幅も小さく、安定した意思伝達信号として使用できません。したがって有用性が最も低いです。
5. 随意運動
✅ 正しい。わずかな随意運動(指、眼輪筋、顔面筋など)でもセンサーで検出し、AAC機器を操作することが可能です。筋電図(EMG)センサーなども利用でき、最も実装しやすい手段の一つです。
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【試験対策ポイント】
AAC(拡張・代替コミュニケーション)機器で利用可能な信号源
| 信号源 | 制御難度 | 有用性 | 実装状況 |
|---|---|---|---|
| 視線 | 容易 | 高 | ◎ アイトラッキング市販品あり |
| 脳波 | 困難 | 中〜高 | ○ BCI研究進行中 |
| 呼気 | 中程度 | 中 | ○ 専門施設で利用 |
| **心拍** | **極めて困難** | **低** | **× 意思制御不可** |
| 随意運動 | 容易〜中程度 | 高 | ◎ 実用化済み |
キーワード:
- 意思伝達の必須条件=「意思的コントロール可能性」
- 心拍=自律神経支配(交感・副交感)で自動調節
- 重症心身障害児の主なAAC手段=視線追従、脳波BCI、わずかな随意運動