第27回 言語聴覚士国家試験 第75問
音声障害第27回
70歳の男性。声の出しづらさを訴えている。喉頭内視鏡検査で両側声帯の弓状弛緩が観察された。疾患はどれか。
- 1.声帯結節
- 2.声帯嚢胞
- 3.声帯萎縮 ✓
- 4.喉頭内芽腫
- 5.ポリープ様声帯
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 声帯萎縮
声帯萎縮は加齢に伴う筋肉・粘膜の萎縮により、声帯が弓状に弛緩した形態を呈する疾患です。高齢男性の訴える嗄声と喉頭内視鏡所見(両側声帯の弓状弛緩)の組み合わせが典型的な臨床像であり、この所見から声帯萎縮と診断されます。
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【各選択肢の解説】
1. 声帯結節
❌ 誤り。声帯結節は反復的な音声酷使により声帯前中1/3の部位に硬結が形成される疾患です。弓状弛緩を呈さず、むしろ声帯に隆起性病変が認められます。若年〜中年の女性に多く、70歳男性の加齢所見とは異なります。
2. 声帯嚢胞
❌ 誤り。声帯嚢胞は声帯に液体貯留による限局的な腫瘤が形成される疾患です。弓状弛緩ではなく、局所的な膨隆した病変として喉頭内視鏡で観察されます。全体的な声帯弛緩とは異なる所見です。
3. 声帯萎縮
✅ 正しい。加齢に伴い声帯の筋肉(声帯筋)が萎縮し、声帯が全体的に細くなり弓状に弛緩します。両側性の変化であり、男性に多く見られます。嗄声や声の出しづらさを主訴とすることが典型的です。
4. 喉頭内芽腫
❌ 誤り。喉頭内芽腫(乳頭腫)は限局的な乳頭状の隆起病変であり、弓状弛緩の所見とは一致しません。また、HPVウイルス感染に関連し、特定の年齢層に好発します。
5. ポリープ様声帯
❌ 誤り。ポリープ様声帯は全体的な浮腫による病変で、声帯が膨隆・肥厚する所見を呈します。弓状弛緩ではなく、むしろ膨隆した形態であり、喫煙や胃食道逆流症との関連が指摘されます。
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【試験対策ポイント】
加齢に伴う音声障害の識別表
| 疾患 | 所見 | 性別・年齢 | 原因 |
|---|---|---|---|
| 声帯萎縮 | 両側弓状弛緩・細化 | 高齢男性 | 加齢 |
| ポリープ様声帯 | 全体膨隆・浮腫 | 中年〜高齢 | 喫煙・GERD |
| 声帯結節 | 前中1/3硬結隆起 | 若年女性 | 音声酷使 |
| 声帯嚢胞 | 限局的腫瘤 | 多様 | 粘液貯留 |
| 喉頭内芽腫 | 乳頭状隆起 | 若年 | HPV |
加齢に伴う音声変化の特徴
- 加齢による変化:声帯萎縮(両側・弓状弛緩)
- 症状:嗄声・声の出しづらさ・疲労感
- 男性に多い理由:喉頭の加齢変化が女性より顕著
- 治療:音声療法・ヒアルロン酸注入・嗄声改善手術
弓状弛緩を呈する疾患
弓状弛緩=声帯全体が細く弓状に萎縮している形態=声帯萎縮(加齢)
限局的・膨隆性病変と区別することが最重要