STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第27回 言語聴覚士国家試験 第77問

音声障害第27回
音声訓練のために気管カニューレのカフを脱気している際に生じる問題はどれか。
  1. 1.反回神経麻痺
  2. 2.気管の瘢痕狭窄
  3. 3.食道の通過障害
  4. 4.唾液の下気道流入 ✓
  5. 5.気管粘膜の血流障害

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 唾液の下気道流入 気管カニューレのカフを脱気すると、カフが膨らまなくなるため気道と食道・咽頭の間の密閉性が失われます。その結果、唾液が声門を通らずに直接下気道に流入するリスクが高まります。音声訓練時は発声を促すため、カフの脱気は必要な処置ですが、その代償として誤嚥・不顕性誤嚥のリスクが増加することを理解する必要があります。 --- 【各選択肢の解説】 1. 反回神経麻痺 ❌ 誤り。カフの脱気とは無関係です。反回神経麻痺は喉頭がん・甲状腺手術・大動脈弓の病変など、神経そのものの損傷が原因であり、気管カニューレの処置で生じるものではありません。 2. 気管の瘢痕狭窄 ❌ 誤り。瘢痕狭窄はカフによる「過度な圧迫」の長期化が主な原因です。カフを脱気すれば、むしろ気管粘膜への圧迫は軽減され、瘢痕狭窄のリスクは低下します。 3. 食道の通過障害 ❌ 誤り。カフ脱気と食道通過障害の因果関係はありません。食道の通過障害は食道自体の病変(狭窄・運動障害等)に由来するもので、気管カニューレの状態とは直接関連しません。 4. 唾液の下気道流入 ✅ 正しい。カフが脱気されると、気道と消化器管の間の「空気密閉」が失われます。自然に流れ落ちる唾液が声門を通らずに直接気管に流入する可能性が高まり、不顕性誤嚥や気管粘膜の刺激につながります。これが音声訓練時の重要なリスクです。 5. 気管粘膜の血流障害 ❌ 誤り。むしろ逆です。カフの過度な圧力が長時間かかると血流障害が生じます。カフを脱気すれば、気管粘膜への圧迫は緩和され、血流障害は軽減されます。 --- 【試験対策ポイント】 気管カニューレのカフ管理における基礎知識 | 項目 | カフ膨張時 | カフ脱気時 | |---|---|---| | 気道密閉性 | 高い | 低い | | 誤嚥リスク | 低い | 高い | | 唾液下気道流入 | 防止 | リスク増加 | | 気管粘膜圧迫 | あり | 少ない | | 瘢痕狭窄リスク | 高い | 低い | | 音声改善 | 困難 | 可能 | カフ脱気の目的と代償 - 目的:発声に必要な呼気流を声門へ導く、音声訓練を可能にする - 代償:カフが膨らまないため気道と食道の密閉が破綻→唾液や食物の直接流入 重要な因果関係 - 瘢痕狭窄 ← 「カフの高圧膨張」「長期間のカフ膨張」 - 唾液下気道流入 ← 「カフの脱気・脱気状態の維持」 - 血流障害 ← 「カフによる過度な圧迫」
関連

▶ 第27回 全問一覧

▶ 音声障害 の過去問一覧