第27回 言語聴覚士国家試験 第94問
補聴器・人工内耳第27回
83歳の女性。日常の会話の聞き取りに不自由を感じるようになり受診した。オージオグラムを図に示す。
他の検査で整合性のある結果はどれか。【図あり】
- 1.ティンパメトリ B型
- 2.UCL 45dB
- 3.最高語音明暸度 65% ✓
- 4.自記オージオメトリーJergerIII型
- 5.ABLB 補充現象陽性
正答:3番
解説
# 第27回 第94問 解説
■ 正答:3番 — 最高語音明瞭度 65%
図に示されたオージオグラムは、高音域に向かって聴力閾値が低下していく典型的な**加齢性難聴(感音難聴)**のパターンを示しています。中等度の感音難聴では語音弁別能が低下するため、最高語音明瞭度65%という値は整合性のある結果といえます。
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【各選択肢の解説】
1. ティンパノメトリ B型
❌ 誤り。B型は鼓膜可動性が消失した平坦な型で、滲出性中耳炎や鼓膜穿孔など中耳病変を示唆します。本症例は感音難聴であり中耳機能は正常と考えられるため、**A型**が予想されます。
2. UCL 45dB
❌ 誤り。UCL(不快閾値)45dBは異常に低く、ダイナミックレンジが極端に狭いことを意味します。本症例の聴力レベル(中等度難聴で閾値が40~60dB付近)を考えると、UCLは少なくとも90~100dB程度が妥当であり、45dBでは閾値以下となり矛盾します。
3. 最高語音明瞭度 65%
✅ 正しい。中等度の加齢性感音難聴では、高音域の聴取困難により子音の弁別が低下し、最高語音明瞭度は60~70%程度に低下することが多く、本オージオグラムと整合します。
4. 自記オージオメトリ Jerger Ⅲ型
❌ 誤り。Jerger Ⅲ型は持続音閾値が断続音閾値より著しく上昇する型で、**後迷路性難聴(聴神経腫瘍など)**を示唆します。加齢性難聴(内耳性)では通常**Ⅱ型**を示します。
5. ABLB 補充現象陽性
❌ 誤り。ABLB(交互両耳ラウドネス平衡検査)は左右耳の聴力差がある一側性難聴の検査であり、本症例のような**両側対称性の難聴では実施できません**。また加齢性難聴では補充現象は明瞭に現れないことが多いです。
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【試験対策ポイント】
**加齢性難聴(presbycusis)の特徴**を整理:
- オージオグラム:**両側対称性・高音漸傾型**(右下がり)
- ティンパノメトリ:**A型**(中耳正常)
- 語音明瞭度:低下(明瞭度曲線がプラトーを示すことも)
- 自記オージオメトリ:**Jerger Ⅱ型**(内耳性)
- 補充現象:軽度〜中等度に陽性のことあり
**Jerger分類の覚え方**:
- Ⅰ型:正常・伝音難聴
- Ⅱ型:**内耳性**(補充現象あり)
- Ⅲ型:**後迷路性**(聴神経腫瘍)
- Ⅳ型:後迷路性(低音域から乖離)
**ABLBは左右差のある一側性難聴で実施**する点も頻出。両側性難聴ではSISI検査などが用いられます。