第27回 言語聴覚士国家試験 第97問
聴力検査第27回
デジタル補聴器の機能の説明として誤っているのはどれか。
- 1.データログは装用時間を記録し分析する。
- 2.入力音をより高い周波数に変換して子音明療度の改善を図る。 ✓
- 3.適応型指向性は雑音の方向を感知し指向性を変化させる。
- 4.ハウリング抑制は逆位相の波形で出力音をキャンセルする。
- 5.マルチチャンネルは周波数帯域を細かく分割して処理する。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 入力音をより高い周波数に変換して子音明療度の改善を図る。
デジタル補聴器には周波数シフトやトランスポーザー機能がありますが、これは「周波数を上げる」ことを意図しません。実際には、聞こえづらい高周波数帯域の音を、より低い周波数帯域にシフトして聞き取りやすくする機能です。「高周波数に変換する」という説明は逆で、これは医学的に誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. データログは装用時間を記録し分析する。
✅ 正しい。デジタル補聴器に内蔵されたデータログ機能は、装用時間・使用環境・音量調整履歴などを記録し、言語聴覚士が装用状況を客観的に評価・分析するために用いられます。
2. 入力音をより高い周波数に変換して子音明療度の改善を図る。
❌ 誤り。この説明は周波数シフト機能の本来の目的と逆です。聞き取りが困難な高周波音(子音など)を、より低い周波数にシフトダウンして聞き取りやすくする機能が正しい。「高周波数に変換」は医学的に誤った説明です。
3. 適応型指向性は雑音の方向を感知し指向性を変化させる。
✅ 正しい。適応型(アダプティブ)指向性は、複数のマイクロフォンで周囲の音環境を解析し、雑音源の位置を特定して、その方向からの雑音を抑制するよう指向性パターンを動的に変化させます。
4. ハウリング抑制は逆位相の波形で出力音をキャンセルする。
✅ 正しい。ハウリング抑制機能は、ハウリングとして戻ってきた音を検出し、その逆位相の信号を同時に出力することで、相殺(キャンセル)する原理です。位相キャンセル技術と呼ばれます。
5. マルチチャンネルは周波数帯域を細かく分割して処理する。
✅ 正しい。マルチチャンネル処理は、音声帯域を複数の周波数帯域(チャンネル)に分割し、各帯域ごとに独立した利得調整・圧縮処理を行うため、より精密な周波数特性の補正が可能です。
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【試験対策ポイント】
補聴器機能の正確な理解が鍵
| 機能 | 概要 | 重要ポイント |
|---|---|---|
| データログ | 装用時間・環境・設定を記録 | 客観的な装用状況の評価に用いられる |
| 周波数シフト | 高周波→低周波へ変換 | 「高周波化」は誤り。聞こえやすい帯域へのシフトダウン |
| 適応型指向性 | 雑音方向を感知し動的変化 | マイク複数本で環境解析→指向性を自動調整 |
| ハウリング抑制 | 逆位相波形でキャンセル | 位相相殺の原理 |
| マルチチャンネル | 周波数を細かく分割処理 | 複数帯域→独立した利得調整 |
**紛らわしい選択肢の区別法**
選択肢2は「高周波に変換」という物理的に誤った説明が含まれているため、補聴器の実際の動作原理と矛盾します。周波数シフト機能の目的は「聞き取りやすい周波数帯域への移動」であり、「周波数を上げる」ことではありません。