第27回 言語聴覚士国家試験 第98問
聴力検査第27回
両側先天性外耳道閉鎖症に用いないのはどれか。
- 1.人工中耳
- 2.骨導補聴器
- 3.軟骨伝導補聴器
- 4.植込型骨導補聴器
- 5.残存聴カ活用型人工内耳 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 残存聴力活用型人工内耳
残存聴力活用型人工内耳(EAS:Electroacoustic Stimulation)は、低周波数帯域を補聴器で音響増幅し、高周波数帯域を電気刺激で補うハイブリッド型補聴器です。このため「蝸牛への音響信号の導入が可能であること」が前提条件となります。外耳道閉鎖症では外耳道が存在せず、従来の補聴器による音響増幅が極めて困難であり、EASの基本的な構造が成立しないため用いられません。一方、他の4つの選択肢はいずれも気導の経路を迂回し、直接的に中耳や内耳に音刺激を伝える仕組みを持つため、外耳道閉鎖症患者に適用可能です。
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【各選択肢の解説】
1. 人工中耳
✅ 正しい。外耳道を迂回し、直接中耳の振動子を鼓膜または鼓膜窓に接触させて中耳伝音系を駆動させるため、気導経路が不要です。外耳道閉鎖症の標準的な治療選択肢です。
2. 骨導補聴器
✅ 正しい。頭骨を経由して音振動を直接蝸牛に伝えるため、外耳道や中耳の機能は不要です。外耳道閉鎖症で最も一般的で実用的な選択肢です。
3. 軟骨伝導補聴器
✅ 正しい。外耳と中耳を迂回し、軟骨の振動を通じて蝸牛に直接音を伝える方式です。骨導補聴器と同様の原理で、外耳道閉鎖症に有効です。
4. 植込型骨導補聴器
✅ 正しい。骨導補聴器を体内に埋め込む形式で、头頭骨への直接的な振動伝達は変わりません。外耳道閉鎖症患者における有効な長期的治療手段です。
5. 残存聴力活用型人工内耳
❌ 誤り。EASは蝸牛への音響信号導入を必須とするため、外耳道の存在と補聴器による低周波数の音響増幅が前提です。外耳道閉鎖症では使用不可です。
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【試験対策ポイント】
外耳道閉鎖症に対応可能な補聴器・装置の特徴
| 装置名 | 原理 | 外耳道閉鎖症への適用 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 骨導補聴器 | 骨伝導 | ✅ 可能 | 最も簡便、体外装着 |
| 軟骨伝導補聴器 | 軟骨伝導 | ✅ 可能 | 骨導補聴器の代替案 |
| 人工中耳 | 中耳駆動 | ✅ 可能 | 中耳の機能が必須 |
| 植込型骨導補聴器 | 埋込型骨伝導 | ✅ 可能 | 審美性・長期使用に優れる |
| EAS(残存聴力活用型人工内耳) | 音響+電気刺激 | ❌ 不可 | 蝸牛への音響信号導入が前提 |
EASが外耳道閉鎖症で使用できない理由
- 低周波数帯域で「補聴器による音響増幅」を必須とするため
- 外耳道が存在しない場合、そもそも音響信号の蝸牛到達経路がない
- 気導補聴器の原理を包含するため、外耳道閉鎖症では構造的に成立しない