第27回 言語聴覚士国家試験 第99問
補聴器・人工内耳第27回
人工内耳について正しいのはどれか。
a.MRI検査の制限はない。
b.自動体外式除細動器(AED)の使用は禁忌である。
c.送信コイルの故障の原因として汗など湿気が多い。
d.断線した送信ケープルの交換は健康保険適応となる。
e.静電気が生じやすい場ではサウンドプロセッサを外す。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — c,d,e
人工内耳の日常管理・安全性・保険制度について、実装体への外部からの影響と故障時の対応を理解することが重要です。MRI制限と自動体外式除細動器(AED)の使用禁忌は常識的な誤りで、送信コイル故障の原因、ケーブル交換の保険適応、静電気対策が正しい知識です。
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【各選択肢の解説】
a. MRI検査の制限はない。
❌ 誤り。人工内耳装用者はMRI検査を受ける際に制限があります。実装体内の磁石が強い磁場の影響を受けるため、事前に医師への相談が必要で、多くの施設では頭部MRI時に実装体の一時的な脱磁や特殊な対応が必要とされています。「制限がない」という絶対的な肯定は誤りです。
b. 自動体外式除細動器(AED)の使用は禁忌である。
❌ 誤り。人工内耳装用者がAEDを使用することは禁忌ではありません。AEDの電気刺激が人工内耳の実装体に致命的な干渉を起こすという医学的根拠はなく、生命救急時にはAED使用を躊躇すべきではありません。むしろ「使用できない」という誤った認識が救命の遅延につながるため、危険な選択肢です。
c. 送信コイルの故障の原因として汗など湿気が多い。
✅ 正しい。送信コイルは高周波信号を発生させる精密電子部品であり、汗や湿度による腐食・断線が主要な故障原因です。特に夏季や運動後の汗による湿気曝露で故障リスクが高まるため、防汗対策と定期的な乾燥が推奨されています。
d. 断線した送信ケーブルの交換は健康保険適応となる。
✅ 正しい。人工内耳の送信ケーブル交換は「修理」に該当し、健康保険の給付対象です。人工内耳に関連する修理・交換の多くは保険適応となります。これは購入時の高額医療機器と異なり、経年劣化による部品交換を支援する制度設計です。
e. 静電気が生じやすい場ではサウンドプロセッサを外す。
✅ 正しい。静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)はサウンドプロセッサの電子回路に悪影響を及ぼす可能性があります。乾燥した環境・カーペット上・合成繊維の衣類など静電気が生じやすい場では、プロセッサを外すか除静電気対策(アース装備)を行うことが推奨されています。
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【試験対策ポイント】
人工内耳の安全性・管理・保険制度
| 項目 | 正確な対応 | よくある誤り |
|---|---|---|
| MRI検査 | 制限あり(事前相談必須) | 「制限なし」と誤解 |
| AED使用 | 禁忌ではない(使用可能) | 「禁忌」と誤認識 |
| 送信コイル故障 | 汗・湿気が主因 | 落下や衝撃が主因と勘違い |
| ケーブル交換 | 健康保険適応 | 全額自己負担と誤認 |
| 静電気対策 | プロセッサを外す | 外さずに対処すべきと誤認 |
重要用語:
- 実装体(implant):頭部皮下埋め込み部分
- サウンドプロセッサ(音声処理装置):体外装着型の信号処理機
- 送信コイル:実装体への無線信号送信部分