第28回 言語聴覚士国家試験 第155問
失語症第28回
呼称に対する反応で形式性錯語はどれか。
- 1.鉛筆を「あかえんぴつ」と言う。
- 2.机を「かばんぶた」と言う。
- 3.きりんを「きりえ」と言う。 ✓
- 4.玉ねぎを「にんじん」と言う。
- 5.自転車を「たまれほ」と言う。
正答:3番
解説
# 第28回 第155問 解説
■ 正答:3番 — きりんを「きりえ」と言う。
**形式性錯語**とは、目標音の音韻体系を保ちながら音の一部が置換・転置・省略・添加される誤りです。3番は「きりん」の「ん」が「え」に置換されており、これは音韻体系内での形式的な誤りであり、意味的には関連性がない典型的な形式性錯語です。
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【各選択肢の解説】
1. 鉛筆を「あかえんぴつ」と言う。
❌ 誤り。「鉛筆」に「赤」という色彩概念を付加している「添加」ですが、これは**意味的関連性を持つ錯語**です。形式性錯語ではなく**語義性錯語**に該当します。
2. 机を「かばんぶた」と言う。
❌ 誤り。「机」の代わりに「かばんぶた」と言うのは、機能的・意味的に関連のある別の語を産出する**語義性錯語**です。形式的な音韻置換ではなく、意味的な連想によるものです。
3. きりんを「きりえ」と言う。
✅ **正しい。** 目標語「きりん」の末尾「ん」が「え」に置換された誤りで、音韻体系内での形式的な変化です。意味的な関連性がなく、純粋に音の置換のみで、形式性錯語の定義に合致します。
4. 玉ねぎを「にんじん」と言う。
❌ 誤り。「玉ねぎ」と「にんじん」は両方とも野菜で意味的に関連のある語です。これは**語義性錯語**(意味的関連による誤り)です。形式的な音韻置換ではありません。
5. 自転車を「たまれほ」と言う。
❌ 誤り。「たまれほ」は目標語「じてんしゃ」と全く関連性のない無意味な音の羅列です。これは**新造語(ジャルゴン)**であり、形式性錯語ではありません。
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【試験対策ポイント】
**錯語の3分類を確実に区別することが極めて重要です:**
| 錯語の種類 | 特徴と例 |
|---|---|
| **形式性錯語(音韻性錯語)** | 目標語の音韻が部分的に変化。置換・転置・省略・添加が起こる。**意味的関連性はない** |
| **語義性錯語** | 意味的に関連のある別の語を産出。「ねこ」→「いぬ」、「机」→「かばん」 |
| **新造語(ジャルゴン)** | 目標語と関連性のない無意味な音の羅列。「たまれほ」など |
**判定のコツ:**
- 産出された語が「実在する語 かつ 意味的に関連あり」→語義性錯語
- 産出された語が「音韻的に目標語に近い」(置換・省略など)→形式性錯語
- 産出された語が「無意味な羅列 かつ 意味的に全く無関連」→新造語
**失語症検査での位置づけ:**
- 形式性錯語は**伝導失語**で特に顕著です(聴理解が保たれているが復唱が悪い、音韻的な転送メカニズムの障害)
- 語義性錯語は**Wernicke失語**で多く見られます(意味理解の障害反映)
本問では1・2・4が「意味的関連」という鑑別軸で誘導されやすいトラップになっています。「純粋に音韻的な変化か、意味的な関連があるか」という視点を持つことが合格の