第28回 言語聴覚士国家試験 第159問
失語症第28回
失語症の呼称訓練について誤っているのはどれか。
- 1.文字の活用を図る。
- 2.音韻セラピーでは復唱や音読を用いる。
- 3.語頭音キューによる訓練効果は日常生活に般化しやすい。 ✓
- 4.意味セラピーでは意味システムの活性化を図る。
- 5.重度例ほど生活関連語彙を中心に選択する必要がある。
正答:3番
解説
# 第28回 第159問 失語症の呼称訓練
■ 正答:**3番** — 語頭音キューによる訓練効果は日常生活に般化しやすい。
語頭音キュー(例:「わに」を思い出せない→「『わ』の音を出します」と外的手がかりを与える)による訓練は、**その時点では有効だが、日常場面で同じキューが得られるとは限らないため般化しにくい**のが問題点です。むしろ自発的に想起できる力(内的処理能力)を高める訓練が般化につながります。
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## 【各選択肢の解説】
1. **文字の活用を図る** ✅ 正しい。
聴覚的に呼び出せない語も、文字提示により視覚ルートを経由して喚起できることがあります。特に**文字理解が保持されている失語症者**には有効な手段です。
2. **音韻セラピーでは復唱や音読を用いる** ✅ 正しい。
音韻セラピーは音声形式に焦点を当て、復唱・音読・音韻判断などを通じて**音韻体系の再活性化**を目指します。音のレベルでの処理を強化します。
3. **語頭音キューによる訓練効果は日常生活に般化しやすい** ❌ **誤り。これが答え。**
語頭音キューは外的・人工的な手がかかりであり、**日常会話では常に得られないため、訓練効果が実生活に転移しにくい**という大きな問題があります。むしろ意味処理や自発的想起の強化が般化につながります。
4. **意味セラピーでは意味システムの活性化を図る** ✅ 正しい。
意味セラピーは**意味処理(語の定義・カテゴリー分類・関連語の検索など)**を通じて意味ネットワークを再構築し、複数のルートからのアクセスを増やすアプローチです。
5. **重度例ほど生活関連語彙を中心に選択する必要がある** ✅ 正しい。
回復の見込みが限定的な場合、限られた訓練資源を**機能的に重要な語(「トイレ」「食べる」など生活自立に直結する語)**に集中させることが実用性を高めます。
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## 【試験対策ポイント】
### ■ 失語症の呼称訓練:3つのアプローチと特性
| アプローチ名 | 焦点 | 手法例 | 日常への般化性 | 適応例 |
|---|---|---|---|---|
| **音韻セラピー** | 音の形式・音韻体系 | 復唱・音読・音韻判断 | 中程度 | 伝導失語・音韻性錯語が顕著 |
| **意味セラピー** | 意味ネットワーク・概念の活性化 | カテゴリー分類・定義生成・画像マッチング | **高い** | 語義性錯語・Wernicke失語 |
| **語頭音キュー** | 外的手がかりの利用 | キュー提示による想起促進 | **低い** | 即時的な応答が必要な場面のみ限定的 |
**般化性の違いの根拠**:
- **意味セラピーの般化性が高い理由**:意味体系は複数の語に共通する深層処理のため、他の語や文脈への応用が可能
- **語頭音キューの般化性が低い理由**:外的・表層的な手がかかりであり、**実生活でそのキューが常に提供されるわけではない**ため、訓練環境に依存した効果となりやすい
### ■ 重要な臨床的選択
**「一般化訓練」の重要性**:
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