第28回 言語聴覚士国家試験 第160問
失語症第28回
失語症の書字訓練におけるキーワード法について誤っているのはどれか。
- 1.仮名書字障害の強い患者に用いる。
- 2.書字訓練への意欲の高い患者に用いる。
- 3.モーラ分解・抽出の能力が必要である。
- 4.キーワードは患者と相談しながら設定する。
- 5.表層失書の患者に用いる。 ✓
正答:5番
解説
# 第28回 第160問 解説
■ 正答:5番 — 表層失書の患者に用いる。
**キーワード法は「深層失読・深層失書」患者に対する訓練方法です。表層失書(音韻性失書)患者には適していません。** 表層失書は音韻変換規則の障害であり、深層失書は意味経路の障害であるため、対象となる患者層が異なります。
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【各選択肢の解説】
1. **仮名書字障害の強い患者に用いる。**
✅ 正しい。キーワード法は仮名の音韻変換が困難な患者(つまり仮名書字が大きく障害されている患者)に対し、漢字の「音」や「意味」を仲介として利用する訓練です。
2. **書字訓練への意欲の高い患者に用いる。**
✅ 正しい。キーワード法は段階的で複雑な処理を必要とするため、訓練への動機づけと継続的な努力が求められます。意欲の低い患者には実施困難です。
3. **モーラ分解・抽出の能力が必要である。**
✅ 正しい。キーワード法では、目標語を音(モーラ)に分解し、各モーラに対応する漢字(キーワード)の部首から当該モーラの仮名を抽出します。この音韻的分解能力が前提です。
4. **キーワードは患者と相談しながら設定する。**
✅ 正しい。キーワード法の有効性は「患者が設定したキーワードとの結びつきの強さ」に大きく依存します。セラピスト主導ではなく、患者の個人的連想や記憶を活用することが重要です。
5. **表層失書の患者に用いる。**
❌ 誤り。**表層失書(音韻性失書)患者には適用不可。** キーワード法が対象とするのは「深層失書」です。表層失書は音韻変換規則の障害なのに対し、深層失書は意味→音韻への変換経路(語彙経路)が損傷し、音韻変換規則にも頼る必要があります。そこでキーワード法は有効です。
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【試験対策ポイント】
**■ 失書の分類と訓練方法の関連性**
| 失書の種類 | 障害部位・機序 | 特徴的誤り | 対応訓練 |
|---|---|---|---|
| **深層失書(語義失書)** | 語彙的経路(意味→音韻)の損傷。音韻変換規則も障害 | 意味性失書(「犬」を「猫」と書く)。同音異義語の混同 | **キーワード法**・意味タスク |
| **表層失書(音韻性失書)** | 音韻変換規則(綴り法則)の障害。語彙的経路は保持 | 規則的に読める語は書けるが、不規則語(「漢字混合語」など)が書けない | 語彙経路の活用・視覚的記憶強化・頻出語の反復学習 |
| **聴写困難** | 聴覚的言語理解の障害に伴う | 聞き取り困難が主因。理解できないものは書けない | 聴覚的理解訓練 |
**■ キーワード法のメカニズム**(重要!)
「『りんご』を書きたい」という場合:
1. **セラピスト主導で設定**(例:「リ=梨のキーワード、ン=反のキーワード、ゴ=語のキーワード」)
2. 患者が各キーワード漢字を想起
3. 各漢字の「左右いずれかの部首」を利用してモーラを表記
4. 最終的には「りんご」の