STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第176問

音声障害第28回
音源が新声門となるのはどれか。 a.食道発声 b.笛式人工喉頭 c.スピーチエイド d.電気式人工喉頭 e.気管食道瘻発声 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
# 第28回 第176問 解説 # 第28回 第176問 解説 ■ 正答:2番 — a, e(食道発声と気管食道瘻発声) 音源が「新声門」となるのは、喉頭摘出後に**自分の身体の粘膜振動を音源として利用する方法**です。食道発声では上部食道に取り込んだ空気を放出する際、**食道入口部(咽頭食道接合部)の粘膜**が振動し、これが新声門(neoglottis)として機能します。気管食道瘻発声(シャント発声)も同様に、瘻孔を通じて呼気を食道へ送り込み、**食道入口部の粘膜振動**を音源とするため新声門となります。一方、笛式人工喉頭・スピーチエイド・電気式人工喉頭は、いずれも**外部の器具が音源**となるため新声門には該当しません。 --- 【各選択肢の解説】 a. 食道発声 ✅ 正しい。嚥下や注入法で食道内に取り込んだ空気を逆流させ、**食道入口部の粘膜**を振動させて発声します。この振動部位が新声門(仮声門)として機能します。装置不要で両手が自由に使える長所があります。 b. 笛式人工喉頭 ❌ 誤り。呼気を笛状の振動装置(ゴム膜やリードなど)に通して音を発生させ、チューブで口腔内に導く方法です。**音源は器具内の振動膜**であり、患者自身の粘膜による新声門ではありません。 c. スピーチエイド ❌ 誤り。スピーチエイドは本来、**口蓋裂や軟口蓋麻痺などによる鼻咽腔閉鎖不全に対する補綴装置**であり、喉頭摘出後の代用発声法ではありません。新声門とは無関係です。 d. 電気式人工喉頭 ❌ 誤り。電動の振動子を頸部や口腔底に当て、**機械的振動を直接咽頭・口腔に伝えて音源**とします。外部音源であり、新声門は形成されません。抑揚に乏しい機械的音声となる短所があります。 e. 気管食道瘻発声(TEP, シャント発声) ✅ 正しい。気管と食道の間に瘻孔を作成し、一方向弁(Blom-Singer弁など)を介して呼気を食道へ送り、**食道入口部粘膜を振動**させて発声します。振動部位は食道発声と同じ新声門であり、肺からの強い呼気を利用できるため大きく持続的な発声が可能です。 --- 【試験対策ポイント】 **喉頭全摘出後の代用音声**は「音源が何か」で整理するのが最重要ポイントです。 | 方法 | 音源 | 新声門 | |---|---|---| | **食道発声** | 食道入口部粘膜 | ✅あり | | **気管食道瘻発声(シャント発声)** | 食道入口部粘膜 | ✅あり | | 笛式人工喉頭 | 器具内の振動膜(リード) | ❌なし | | 電気式人工喉頭 | 電動振動子 | ❌なし | 覚え方:**「新声門=食道入口部粘膜の振動」**。したがって食道発声とTEPの2つが該当します。 注意点として、**スピーチエイドは「口蓋裂・鼻咽腔閉鎖不全用の補綴装置」**であり、喉頭摘出後の代用発声法と混同しないこと。これは国試頻出の引っかけです。
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