第28回 言語聴覚士国家試験 第184問
嚥下障害第28回
経鼻経管栄養法について誤っているのはどれか。
- 1.下痢を伴いやすい。
- 2.胃食道逆流が助長される。
- 3.嚥下反射惹起が不良となる。
- 4.小腸の蠕動運動が阻害される。
- 5.経管栄養時には下肢を挙上する。 ✓
正答:5番
解説
# 第28回 第184問 経鼻経管栄養法
■ 正答:5番 — 経管栄養時には下肢を挙上する。
経鼻経管栄養法における注意点を問う問題です。正答は5番です。経管栄養時には**誤嚥のリスクを減らすため頭部を30°以上挙上する**のが基本であり、下肢挙上は誤嚥防止と直接的な関係がありません。むしろ身体全体を傾斜させた頭高位が重要です。
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【各選択肢の解説】
1. 下痢を伴いやすい。
✅ 正しい。経管栄養剤は濃度が濃く、腸への刺激が強いため下痢を誘発しやすい。特に急速注入時に顕著。
2. 胃食道逆流が助長される。
✅ 正しい。経管栄養チューブが下食道括約筋(LES)の機能を物理的に障害し、胃内容物の逆流リスクが増加。
3. 嚥下反射惹起が不良となる。
✅ 正しい。経鼻チューブが咽頭後壁や梨状陥凹を持続的に刺激するため、嚥下反射の閾値が低下し、むしろ反射が惹起されやすくなる一方で、自然な嚥下の機会が減少し嚥下機能の廃用が進行する。
4. 小腸の蠕動運動が阻害される。
✅ 正しい。経管栄養剤の持続的投与により、腸の正常な蠕動リズムが乱されることがある。また、栄養剤の濃度や成分によっては腸運動を抑制する。
5. 経管栄養時には下肢を挙上する。
❌ 誤り。誤嚥防止のためには**頭部を30°以上挙上**することが鉄則。下肢挙上は血液循環改善には有用だが、誤嚥防止とは直接関連がなく、むしろ誤嚥のリスク軽減には身体全体の傾斜(Fowler位:半坐位)が優先される。
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【試験対策ポイント】
**経管栄養法の基礎知識**
| 管類型 | 特徴 | 合併症 |
|---|---|---|
| 経鼻胃管 | 短期用・挿入が簡便 | 鼻粘膜損傷・咽頭違和感・逆流 |
| 経皮的胃瘻(PEG) | 長期用・栄養流出量が多い | 腹部感染・瘻孔周囲炎 |
| 経皮的空腸瘻(PEJ) | 高度な胃食道逆流がある場合 | 小腸穿孔・閉塞 |
**経管栄養時の「体位」と「嚥下」の関係**
- **頭高位(30°以上の半坐位)**:誤嚥防止の基本。咽頭での物質流下を重力で促進。Fowler位が標準
- **嚥下反射の廃用**:経管栄養を続けると自然な嚥下の機会が失われ、嚥下機能が低下する(嚥下廃用症)。だからこそ**可能な限り経口栄養の併行と間接訓練の継続が重要**
- **誤嚥の多い時間帯**:就寝直前の栄養投与は避け、投与後1時間は起座位を保つ
**経管栄養剤の選択と副作用**
- 下痢の対策:濃度調整・投与速度低下・食物繊維含有剤の検討
- 胃食道逆流の対策:半坐位の維持が最優先。制酸薬・制吐薬の併用検討