第28回 言語聴覚士国家試験 第185問
音声障害第28回
喉頭気管分離術後患者の吸痰について正しいのはどれか。
- 1.経鼻的に行う。
- 2.経口的に行う。
- 3.発声時に行う。
- 4.吸気時に行う。
- 5.永久気管孔から行う。 ✓
正答:5番
解説
# 第28回 第185問 解説
■ 正答:5番 — 永久気管孔から行う
喉頭気管分離術は、喉頭と気管を物理的に遮断し、喉頭への吸引リスクを根本的に除去する手術です。永久気管孔が造設されるため、**すべての気道吸引は気管孔からのみ実施する**ことが原則です。経鼻的・経口的アプローチは気管孔造設後の吸痰には不適切です。
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【各選択肢の解説】
1. 経鼻的に行う。
❌ 誤り。喉頭気管分離術後、呼吸は気管孔を経由するため、経鼻的アプローチは气道に到達しません。
2. 経口的に行う。
❌ 誤り。経口的な吸痰も気管孔造設後は無意味です。むしろ口腔内に誤った操作を招きます。
3. 発声時に行う。
❌ 誤り。吸痰と発声は独立した行為です。発声は喉頭を経由しなくなるため、この選択肢の組み合わせに意味がありません。
4. 吸気時に行う。
❌ 誤り。吸痰は**能動的に行う医療処置**であり、患者の吸気タイミングに依存する必要はありません。むしろ患者の協力を得て、確実に分泌物を除去するタイミングで実施します。
5. 永久気管孔から行う。
✅ 正しい。喉頭気管分離術後の気道管理はすべて気管孔経由で行われます。気管孔は呼吸と吸痰の唯一の通路であり、**滅菌吸痰カテーテルを気管孔から気管内に挿入**して吸引します。
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【試験対策ポイント】
**喉頭気管分離術の要点**:
- 目的:両側反回神経麻痺による呼吸困難や、重度嚥下障害患者の「誤嚥性肺炎防止」
- 術後の解剖:喉頭は気管から物理的に遮断され、**呼吸機能を失う**
- 気管孔は永久的(通常は一生閉じることはない)
- 発声はできない(喉頭が気流を受けないため)
- **言語聴覚療法の対象外**(発話手段:食道発声・人工喉頭・気管食道瘻発声など別途手段が必要)
**喉頭気管分離術と気管切開術の鑑別**:
| 手術名 | 喉頭 | 気管孔 | 呼吸 | 発声 | 誤嚥リスク |
|---|---|---|---|---|---|
| 気管切開術 | 温存 | 気管孔で呼吸 | 可能 | 可能 | リスク残存 |
| 喉頭気管分離術 | 気管から分離 | 永久気管孔 | 気管孔のみ | 不可能 | ほぼ排除 |
**吸痰の実際的な手順**:
1. 清潔操作での準備
2. **気管孔に無菌吸痰カテーテルを挿入**
3. 患者の息を止めるよう指示(または自然な呼吸継続中に吸引)
4. 円滑な吸引(陰圧:150mmHg以下を目安)
5. カテーテル内のドレナージで分泌物を除去
**本問の出題意図**:
喉頭気管分離術の術後管理において、「気管孔が唯一の気道通路」という基本原理を理解しているかを問う問題。類似の手術操作(気管切開後の吸痰:気管孔使用で正解)との混同を避けることが重要です。