第28回 言語聴覚士国家試験 第192問
小児聴覚障害第28回
難聴児のハビリテーションプログラムの立案で誤っているのはどれか。
- 1.子どもの興味に沿った課題を選択する。
- 2.発達状況に合わせて難易度を設定する。
- 3.課題の積み上げ・繰り返しによる習熟を図る。
- 4.ことばの意味・音韻・統語などのネットワーク化を考慮する。
- 5.幼児期は保護者の希望があれば聴覚活用指導より構音指導を優先する。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 幼児期は保護者の希望があれば聴覚活用指導より構音指導を優先する
難聴児のハビリテーションプログラム立案における**優先順位の原則**が問われています。幼児期は、たとえ保護者の希望があっても、**聴覚活用指導(聴能訓練)を構音指導より優先させる**ことが標準的です。これは、幼児期の聴覚・音声の可塑性が高く、聴力に応じた聴覚機能の発達が言語発達全体の基盤となるためです。保護者の希望は尊重しながらも、子どもの発達段階と障害特性に基づいた客観的な優先度判断が専門職の責務です。
---
【各選択肢の解説】
1. 子どもの興味に沿った課題を選択する
✅ 正しい。遊びの文脈での課題選択により、子どもの主体的参加と学習動機づけを高めます。聴覚・言語訓練の効果を上げるうえで不可欠です。
2. 発達状況に合わせて難易度を設定する
✅ 正しい。過度に簡単な課題は退屈をもたらし、過度に難しい課題は挫折感を生じさせます。**最近接領域(ZPD)**に課題を設定することが発達を促進します。
3. 課題の積み上げ・繰り返しによる習熟を図る
✅ 正しい。聴能訓練でも音韻訓練でも、単一課題の反復が根底にあります。学習効果の定着と般化には段階的な進行が必須です。
4. ことばの意味・音韻・統語などのネットワーク化を考慮する
✅ 正しい。**言語の内部構造(セマンティック・ネットワーク)**を念頭に置くことで、個別の言語要素習得が他領域の学習を促進します。これはEBP(根拠に基づく実践)と整合します。
5. 幼児期は保護者の希望があれば聴覚活用指導より構音指導を優先する
❌ **誤り**。幼児期の難聴児にとって、聴覚活用指導(聴能訓練)は音声知覚と言語発達を支える**基盤的支援**です。保護者が「はっきりした発音」を望まれても、聴覚を活用する土台がなければ構音訓練の効果は限定的です。優先順位は【聴能訓練→構音訓練→言語訓練】が原則です。
---
【試験対策ポイント】
**難聴児ハビリテーションの優先順位**(頻出・重要):
| 優先度 | 指導領域 | 実施時期・根拠 |
|---|---|---|
| 1位 | **聴覚活用指導(聴能訓練)** | 幼児期から最優先。残存聴力の最大活用が音声知覚・言語発達の基盤。補聴器や人工内耳の適切装用と一体 |
| 2位 | 構音指導 | 一定の音韻概念形成後。低年齢では優先度は相対的に低い |
| 3位 | 語彙・文法指導 | 学童期以降に本格化。就学までは日常生活語の拡充に止める場合も多い |
**発達的視点**:
- 幼児期の聴覚可塑性は限定的で、一度閉じると回復困難
- 音声知覚→音韻体系形成→構音実行という**段階的発達**を逆行して指導することは非効率
- 保護者の「聞き取りやすい発音を」という希望は理解できるが、短期的な構音改善より**長期的な言語基盤構築**を優先する専