第28回 言語聴覚士国家試験 第63問
失語症第28回
病態失認はどれか。
- 1.聴覚性失認
- 2.アントン症候群 ✓
- 3.視覚性失認
- 4.ゲルストマン症候群
- 5.視覚失調
正答:2番
解説
# 第28回 第63問 解説
■ 正答:2番 — アントン症候群
**病態失認**とは、自分の障害を認識できない状態です。アントン症候群は視覚障害(皮質盲)を伴う病態失認の代表例で、両側後頭葉の損傷により視力を失いながらも「見えている」と確信し、存在しない物を説明する虚構を行います。この症状が病態失認の古典的定義そのものです。
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【各選択肢の解説】
1. **聴覚性失認**
❌ 誤り。聴覚皮質(上側頭回)の損傷で音の意味が分からなくなる症状。**自分の障害の認識**とは無関係です。
2. **アントン症候群**
✅ 正しい。両側後頭葉損傷による皮質盲 + 自身の失明を否定する病態失認。虚構(見えないはずの物を見た内容で説明)を伴います。**病態失認の典型例**です。
3. **視覚性失認**
❌ 誤り。物体の視覚的な特徴を認識できない症状(例:「ライターを見ても何か分からない」)。見える能力は保たれており、**障害の認識とは別の問題**です。
4. **ゲルストマン症候群**
❌ 誤り。左角回損傷による①失指症(指の識別不能)②失書③計算障害④左右失認の4徴候。精神的洞察力の問題ではなく**認知的・実行的障害**です。
5. **視覚失調**
❌ 誤り。バリント症候群(両側頭頂葉後頭葉)による視覚性運動失調。目で見えても「どこにあるか」の空間認知が障害される現象であり、自身の状態認識とは異なります。
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【試験対策ポイント】
**病態失認(Anosognosia)の3つの代表例**:
| 障害の種類 | 失認の特徴 | 責任病巣 | 重要な鑑別ポイント |
|---|---|---|---|
| **皮質盲(視覚障害)** | アントン症候群:見えないのに「見えている」と主張。虚構多発 | 両側後頭葉 | 聴覚性失認(「音の意味が分からない」)と異なり、**自分の障害を否定する** |
| **半側空間無視** | 左側の障害物を見落とし、存在を否定(特に病初期) | 右頭頂後頭葉(非優位半球) | 高度な左半側の麻痺も否定することがある |
| **片麻痺(運動障害)** | 麻痺肢の存在を否定する稀な状態 | 右頭頂葉など | 抑うつ反応や「心理的防衛」との区別が重要 |
**「失認」全体の分類**(出題頻度高):
- **視覚性失認**:見えるが意味が分からない(ものの識別困難)
- **聴覚性失認**:聞こえるが意味が分からない(音韻弁別は可)
- **触覚性失認**:触覚情報の意味が分からない
- **病態失認**:自分の障害の認識欠如(アントン症候群の核)
**アントン症候群と「視覚性失認」の決定的な違い**:
- **アントン症候群** = **病態失認**(実際には見えないのに「見えている」と主張)
- **視覚性失認** = 見える能力は残存するが、見えた物が「何であるか」認識できない(本人も「何か分からない」と自覚)
**臨床的意義**:病態失認患者は障害を自覚していないため、リハビリテーション従事者による丁