PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第31問

神経疾患理学療法第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第31問(神経疾患理学療法)の正答は 3 です。現在の到達段階は「頸定あり・上肢支持で数秒だけ円背座位が可能」で、次の課題は抗重力の体幹伸展活動を高めて座位を安定させることです。

問題
1歳2か月の男児。6か月健康診査で運動発達遅滞を指摘され、地域の療育センターを紹介された。痙直型両麻痺と診断され、週1回の外来理学療法が開始された。現在、首が座り上肢を支持して数秒間のみ円背姿勢で床座位保持が可能となった。 この時期のホームプログラムとして適切なのはどれか。
  1. 1. 下肢の保護伸展反応の促通
  2. 2. 上肢の他動的可動域訓練
  3. 3. 腹臥位での体幹伸展運動
  4. 4. 四つ這い位保持訓練
  5. 5. 介助歩行

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 腹臥位での体幹伸展運動

現在の到達段階は「頸定あり・上肢支持で数秒だけ円背座位が可能」で、次の課題は抗重力の体幹伸展活動を高めて座位を安定させることです。腹臥位で肘や手で支えて頭部・体幹を持ち上げる運動(on elbows/on hands)は、背筋群の抗重力伸展を引き出し、円背の改善と座位保持時間の延長に直結します。家庭で安全に行えるホームプログラムとしても適切です。


【各選択肢の解説】

1. 下肢の保護伸展反応の促通
❌ 誤り。下肢の保護伸展反応(立位で身体を傾けたときに足を踏み出す反応)は、立位バランスの獲得段階で扱う課題です。座位が数秒しか保てない現段階では順序が飛びすぎています。
2. 上肢の他動的可動域訓練
❌ 誤り。痙直型両麻痺は下肢優位の麻痺で、上肢の可動域制限は軽度です。この時期に優先すべきは上肢を「支持に使う」能動的な活動であり、他動運動ではありません。
3. 腹臥位での体幹伸展運動
✅ 正しい。円背座位の原因である体幹伸展筋の抗重力活動不足を、腹臥位での上肢支持・頭部挙上によって直接鍛えられます。発達順序(腹臥位での抗重力伸展→座位安定)にも合致します。
4. 四つ這い位保持訓練
❌ 誤り。四つ這いは座位が安定してから獲得される段階です。座位保持が数秒の段階では、四肢での支持と体幹の保持を同時に要求する四つ這いは負荷が高すぎます。
5. 介助歩行
❌ 誤り。座位も未確立の段階で歩行を課題にするのは時期尚早です。痙直型両麻痺では下肢の伸展・内転パターンを強めてしまう恐れもあります。

【試験対策ポイント】

小児の課題設定は「今できている段階の1つ先」を選ぶのが鉄則です。正常発達の粗大運動の順序を押さえておきましょう。

月齢の目安獲得する運動
3〜4か月頸定・腹臥位で肘支持(on elbows)
6〜7か月寝返り・手支持での座位(円背)
8〜9か月安定した座位(背すじが伸びる)・四つ這い
10〜11か月つかまり立ち・伝い歩き
12〜15か月独歩

痙直型両麻痺は下肢優位の痙縮(はさみ肢位・尖足)が特徴で、知的機能は比較的保たれることが多い型です。

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