PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午後 第87問

神経内科学第44回午後

第44回 理学療法士国家試験 午後 第87問(神経内科学)の正答は 2 です。多発性硬化症は中枢神経(脳・脊髄・視神経)の髄鞘が免疫学的機序で破壊される脱髄疾患です。

問題
多発性硬化症について正しいのはどれか。
  1. 1. 高齢者に多い。
  2. 2. 脱髄が主病変である。
  3. 3. 症状に日内変動がみられる。
  4. 4. 初発症状として眼瞼下垂が多い。
  5. 5. 脳神経では聴覚が障害されやすい。

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — 脱髄が主病変である。

多発性硬化症は中枢神経(脳・脊髄・視神経)の髄鞘が免疫学的機序で破壊される脱髄疾患です。時間的・空間的に多発する病巣が特徴で、再発と寛解を繰り返します。


【各選択肢の解説】

1. 高齢者に多い。
❌ 誤り。20〜30歳代の若年成人、とくに女性に多い疾患です(男女比はおよそ1対2〜3)。高緯度地域で有病率が高いことも知られています。
2. 脱髄が主病変である。
✅ 正しい。軸索は比較的保たれ髄鞘が選択的に障害されるため、伝導速度の低下・伝導ブロックが生じます。MRIのT2強調像で白質に多発性の高信号病巣を認めます。
3. 症状に日内変動がみられる。
❌ 誤り。日内変動(朝は良く夕方に悪化)は重症筋無力症の特徴です。多発性硬化症では入浴や発熱など体温上昇で一時的に症状が悪化するUhthoff現象がみられます。
4. 初発症状として眼瞼下垂が多い。
❌ 誤り。眼瞼下垂は重症筋無力症の初発症状です。多発性硬化症の初発は球後視神経炎(視力低下・中心暗点・眼球運動時痛)が代表的です。
5. 脳神経では聴覚が障害されやすい。
❌ 誤り。障害されやすいのは視神経です。ほかに複視(内側縦束症候群による核間性眼筋麻痺)や三叉神経痛もみられます。

【試験対策ポイント】

多発性硬化症で問われる4大キーワードは「時間的・空間的多発」「球後視神経炎」「Uhthoff現象」「Lhermitte徴候(頸部前屈で背部から下肢に電撃痛)」。理学療法では、体温上昇で症状が悪化するため過度な運動と高温環境を避け、疲労を残さない強度(Borg 11〜13程度)で行い、急性増悪期は安静とステロイド治療を優先します。視神経脊髄炎(NMOSD)は抗アクアポリン4抗体陽性で、重い視神経炎と長大な脊髄病変を呈する別疾患として区別されます。

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