第45回 理学療法士国家試験 午前 第13問
神経疾患理学療法第45回午前
第45回 理学療法士国家試験 午前 第13問(神経疾患理学療法)の正答は 2 です。筋萎縮性側索硬化症(ALS)が進行し、頸部・体幹を含む多くの筋がMMT 2、四肢の近位筋も3〜4にとどまり、起き上がりと歩行に介助を要する状態です。
問題
60歳の男性。50歳で筋萎縮性側索硬化症を発症し、自宅療養中である。舌を含めた全身に筋萎縮があり、上肢筋の萎縮は高度である。Danielsらの徒手筋力テストで肘・股・膝関節周囲筋3〜4、他は頸部・体幹を含め2。起き上がり動作と歩行とに介助を必要としている。
自宅内での適切な移動方法はどれか。
- 1. 四つ這い移動
- 2. 標準型車椅子での移動 ✓
- 3. 肘をついてのいざり移動
- 4. ピックアップ歩行器歩行
- 5. 杖と装具とを使用した歩行
正答:2番
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解説
■ 正答:2番 — 標準型車椅子での移動
筋萎縮性側索硬化症(ALS)が進行し、頸部・体幹を含む多くの筋がMMT 2、四肢の近位筋も3〜4にとどまり、起き上がりと歩行に介助を要する状態です。この段階では立位・歩行を伴う移動は転倒の危険が高く、また上肢の高度な筋萎縮から四つ這いやいざりも困難です。安全で疲労の少ない移動手段として車椅子が適切です。
【各選択肢の解説】
1. 四つ這い移動
❌ 誤り。四つ這いは上肢で体重を支える必要がありますが、上肢筋の萎縮が高度で体幹筋もMMT 2であるため姿勢の保持ができません。
❌ 誤り。四つ這いは上肢で体重を支える必要がありますが、上肢筋の萎縮が高度で体幹筋もMMT 2であるため姿勢の保持ができません。
2. 標準型車椅子での移動
✅ 正しい。座位で安全に移動でき、エネルギー消費も少なく、進行性の疾患で残存機能を疲労させずに活動範囲を保てます。
✅ 正しい。座位で安全に移動でき、エネルギー消費も少なく、進行性の疾患で残存機能を疲労させずに活動範囲を保てます。
3. 肘をついてのいざり移動
❌ 誤り。いざり移動も上肢と体幹の筋力を要します。体幹筋MMT 2では座位の保持自体が不安定で、転倒・転落の危険があります。
❌ 誤り。いざり移動も上肢と体幹の筋力を要します。体幹筋MMT 2では座位の保持自体が不安定で、転倒・転落の危険があります。
4. ピックアップ歩行器歩行
❌ 誤り。ピックアップ型歩行器は毎歩ごとに歩行器を持ち上げる必要があり、上肢筋力が保たれていることが前提です。歩行に介助を要する状態では適応になりません。
❌ 誤り。ピックアップ型歩行器は毎歩ごとに歩行器を持ち上げる必要があり、上肢筋力が保たれていることが前提です。歩行に介助を要する状態では適応になりません。
5. 杖と装具とを使用した歩行
❌ 誤り。杖歩行は上肢での支持と立位バランスが必要です。体幹筋力の低下が著しい本症例では危険であり、装具を装着しても歩行の自立は望めません。
❌ 誤り。杖歩行は上肢での支持と立位バランスが必要です。体幹筋力の低下が著しい本症例では危険であり、装具を装着しても歩行の自立は望めません。
【試験対策ポイント】
ALSの理学療法で最重要の原則は過用性筋力低下(overwork weakness)を避けることです。強い抵抗運動や疲労困憊まで行う運動は筋線維の変性を促進するため行いません。
進行段階に応じた対応は次のとおりです。
- 軽度:関節可動域訓練、疲労しない範囲の運動、日常生活の維持
- 中等度:装具・杖・歩行器などによる代償、環境整備、車椅子の導入
- 重度:呼吸理学療法(排痰・非侵襲的陽圧換気)、褥瘡・拘縮予防、コミュニケーション手段の確保
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