PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第45回 理学療法士国家試験 午後 第11問

神経疾患理学療法第45回午後

第45回 理学療法士国家試験 午後 第11問(神経疾患理学療法)の正答は 3 です。多発性硬化症の急性増悪(再発)直後で、ステロイドパルス療法によって「ようやく症状の進行が止まった」段階です。

問題
30歳の女性。多発性硬化症によるL1レベル以下の対麻痺の増悪を認め、Danielsらの徒手筋力テストで下肢筋力は2となったが、ステロイドパルス療法でようやく症状の進行が止まった。この時期における理学療法で適切なのはどれか。
  1. 1. 上肢筋力増強訓練
  2. 2. 下肢筋力増強訓練
  3. 3. 関節可動域訓練
  4. 4. 座位持久性訓練
  5. 5. 立位訓練

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 関節可動域訓練

多発性硬化症の急性増悪(再発)直後で、ステロイドパルス療法によって「ようやく症状の進行が止まった」段階です。この時期に負荷の高い運動を行うと、疲労や体温上昇によって症状が悪化する(Uhthoff現象)おそれがあります。下肢筋力はMMT2まで低下しており拘縮のリスクが高いため、まずは低負荷で安全に実施できる関節可動域訓練によって二次的な拘縮・変形を予防することが適切です。


【各選択肢の解説】

1. 上肢筋力増強訓練
❌ 誤り。増悪が止まったばかりの時期に抵抗運動を行うと、多発性硬化症に特徴的な易疲労性から症状の増悪を招くおそれがあります。全身状態が安定してから段階的に導入します。
2. 下肢筋力増強訓練
❌ 誤り。MMT2(重力を除けば全可動域を動かせる)の筋に抵抗をかけるのは過負荷であり、この時期の第一選択にはなりません。
3. 関節可動域訓練
✅ 正しい。低負荷で疲労を招かず、対麻痺による股・膝・足関節の拘縮や尖足を予防できます。増悪直後の時期に最も優先度が高い介入です。
4. 座位持久性訓練
❌ 誤り。持久性訓練は疲労と体温上昇を伴いやすく、症状の一時的悪化を招く危険があります。回復期に入ってから実施します。
5. 立位訓練
❌ 誤り。下肢筋力がMMT2では抗重力位での支持が困難で、転倒・過負荷のリスクが高く、この時期には適しません。

【試験対策ポイント】

多発性硬化症の理学療法は、病期によって内容を切り替えることがポイントです。

病期方針
急性増悪期安静を基本に、関節可動域訓練・良肢位保持・褥瘡予防
増悪が止まった直後低負荷の可動域訓練から開始。疲労させない
寛解期低〜中強度の筋力増強・持久性訓練、ADL訓練、装具の検討

Uhthoff現象(体温が1℃程度上がると症状が悪化)は必出です。入浴・発熱・高温環境・過度の運動を避け、訓練は涼しい環境で短時間・分割して行います。易疲労性が強いため、「休憩を挟む」「午前中に行う」といった配慮も問われます。

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