PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第45回 理学療法士国家試験 午後 第35問

神経疾患理学療法第45回午後

第45回 理学療法士国家試験 午後 第35問(神経疾患理学療法)の正答は 2 です。頸髄・胸髄損傷では呼吸筋(肋間筋・腹筋)の麻痺により咳嗽力が低下し、無気肺、気道分泌物の貯留、胸郭の拘縮が問題となります。

問題
脊髄損傷患者の呼吸に対する理学療法の目的でないのはどれか。
  1. 1. 無気肺の予防
  2. 2. 肺水腫の予防 ✓
  3. 3. 横隔膜呼吸の促進
  4. 4. 胸郭拘縮発生の予防
  5. 5. 気道分泌物の喀出の促進

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — 肺水腫の予防

頸髄・胸髄損傷では呼吸筋(肋間筋・腹筋)の麻痺により咳嗽力が低下し、無気肺、気道分泌物の貯留、胸郭の拘縮が問題となります。一方、肺水腫は左心不全や過剰輸液などによる肺毛細血管圧の上昇が原因で、呼吸理学療法で予防できるものではありません。設問は「目的でないのはどれか」という否定形です。


【各選択肢の解説】

1. 無気肺の予防
✅ 正しい。1回換気量の低下と喀痰貯留から無気肺を生じやすく、深呼吸練習や体位変換による予防は主要な目的です。
2. 肺水腫の予防
❌ 誤り。肺水腫は心原性(左心不全)や非心原性(ARDSなど)の病態であり、呼吸理学療法の直接の目的にはなりません。
3. 横隔膜呼吸の促進
✅ 正しい。C4より下位の損傷では横隔膜が残存するため、これを主力の呼吸筋として活用し、筋力と持久力を高めます。
4. 胸郭拘縮発生の予防
✅ 正しい。肋間筋麻痺で胸郭の動きが減るとコンプライアンスが低下するため、徒手的胸郭伸張やエアスタッキングで可動性を保ちます。
5. 気道分泌物の喀出の促進
✅ 正しい。腹筋麻痺で有効な咳ができないため、徒手介助咳嗽(クアッドコフ)や体位排痰法で喀出を助けます。

【試験対策ポイント】

呼吸筋の髄節を押さえると解ける。横隔膜=C3〜C5(横隔神経)/肋間筋=T1〜T11/腹筋=T6〜T12。

C4以上は人工呼吸器が必要になりやすく、C5〜C8では横隔膜は使えるが肋間筋・腹筋が麻痺するため、吸気は保たれても呼気(咳)が最も障害されるのがポイント。したがって理学療法の主眼は「痰を出させること」と「胸郭を硬くしないこと」に置かれる。

急性期には奇異呼吸(吸気時に胸郭が陥凹)がみられ、腹帯を用いて横隔膜の効率を高めることがある。「肺水腫の予防」のほか「肺高血圧の是正」「気胸の予防」なども理学療法の目的ではない除外肢として出題される。

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