PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第46回 理学療法士国家試験 午前 第11問

神経疾患理学療法第46回午前

第46回 理学療法士国家試験 午前 第11問(神経疾患理学療法)の正答は 1 です。四肢に痙性麻痺があるため、筋短縮・関節拘縮の予防を目的としたストレッチングが最も基本的で安全な理学療法となる。

問題
50歳の男性。多発性硬化症の再燃で入院加療中。四肢の痙性麻痺と運動失調とがみられる。立位保持は可能だが、Romberg徴候は陽性。神経症状が安定したため理学療法が開始された。 この患者への理学療法で適切なのはどれか。
  1. 1. 筋のストレッチングを行う。
  2. 2. 早期に歩行補助具を作製する。
  3. 3. 痙縮に対して温熱療法を行う。
  4. 4. 運動失調に対して重錘を負荷する。
  5. 5. 筋力低下に対して1 RMで筋力増強を行う。

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — 筋のストレッチングを行う。

四肢に痙性麻痺があるため、筋短縮・関節拘縮の予防を目的としたストレッチングが最も基本的で安全な理学療法となる。多発性硬化症では易疲労性体温上昇による症状悪化(Uhthoff現象)に配慮する必要があり、高負荷の運動や温熱を用いる方法は避けなければならない。


【各選択肢の解説】

1. 筋のストレッチングを行う。
✅ 正しい。痙縮に対する持続的なストレッチングは筋緊張を低下させ、拘縮を予防する。疲労も熱負荷も少なく、再燃直後で神経症状が安定したばかりの時期にも適する。
2. 早期に歩行補助具を作製する。
❌ 誤り。立位保持が可能で歩行能力が残っている段階であり、多発性硬化症は再発と寛解を繰り返して症状が変動する。早期に確定的な補助具を作ると残存能力の低下を招きかねない。
3. 痙縮に対して温熱療法を行う。
❌ 誤り。多発性硬化症では体温がわずかに上昇するだけで神経症状が一過性に悪化するUhthoff現象がある。温熱療法・熱い入浴・高温環境は避ける。
4. 運動失調に対して重錘を負荷する。
❌ 誤り。重錘負荷は失調に対する手段の一つではあるが、本症では易疲労性が強く痙性麻痺も合併しているため、負荷の追加は疲労と筋緊張亢進を助長する。
5. 筋力低下に対して1 RMで筋力増強を行う。
❌ 誤り。1 RM(1回だけ挙上できる最大負荷)は最大努力の運動であり、易疲労性のある多発性硬化症では明らかな過負荷となって症状を悪化させる。

【試験対策ポイント】

・多発性硬化症(MS)は中枢神経の脱髄疾患。20〜40歳代の女性に多く、病巣の時間的・空間的多発が特徴。再発寛解型が最多。
Uhthoff現象=体温上昇(入浴・発熱・運動・高温環境)で一過性に症状が悪化する。温熱療法は原則行わず、運動は涼しい環境で行う。
Lhermitte徴候=頸部を前屈すると背部から下肢へ電撃様の放散痛が走る。
・運動処方は「低〜中等度強度・短時間・頻回」。過用性筋力低下(overwork weakness)に注意し、翌日に疲労を持ち越さない範囲にとどめる。
・Romberg徴候陽性=閉眼で動揺が増強(後索=深部感覚障害)。小脳性失調では開眼でもふらつく点で区別する。

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