PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第46回 理学療法士国家試験 午後 第13問

神経疾患理学療法第46回午後

第46回 理学療法士国家試験 午後 第13問(神経疾患理学療法)の正答は 5 です。脊髄小脳変性症で歩行が不安定、片脚起立も困難であり、加えて複視と眼振が強く日常生活でも気分不良を来している症例です。

問題
46歳の男性。脊髄小脳変性症。最近、歩行が不安定となり、壁を伝うことが多くなってきた。片脚起立は困難。複視と眼振が強く、日常生活でも気分不良となる。理学療法として適切なのはどれか。
  1. 1. 継ぎ足歩行
  2. 2. Frenkel体操
  3. 3. 号令を用いた歩行
  4. 4. バランスボードを用いた起立訓練
  5. 5. リズミック・スタビリゼーション

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — リズミック・スタビリゼーション

脊髄小脳変性症で歩行が不安定、片脚起立も困難であり、加えて複視と眼振が強く日常生活でも気分不良を来している症例です。したがって「視覚に頼る運動」「頭部が大きく動揺する運動」「支持基底面が狭く転倒しやすい運動」は避けなければなりません。リズミック・スタビリゼーション(律動的安定化)はPNFの手技で、拮抗する方向へ交互に等尺性抵抗を加えて姿勢を保持させるものです。関節運動や頭部動揺を伴わず体幹・近位部の安定性を高められるため適切です。


【各選択肢の解説】

1. 継ぎ足歩行
❌ 誤り。支持基底面を極端に狭くする課題であり、片脚起立も困難な本例では転倒の危険が高い。
2. Frenkel体操
❌ 誤り。Frenkel体操は自分の動きを目で見て確認する視覚代償を利用する運動療法。複視と眼振が強い本例では実施が困難で、気分不良も助長する。
3. 号令を用いた歩行
❌ 誤り。リズムの手がかりで歩行を誘導する方法は主にParkinson病のすくみ足に用いる。失調による動揺には効果が乏しく、歩行自体が不安定な段階では優先されない。
4. バランスボードを用いた起立訓練
❌ 誤り。不安定板の上では絶えず姿勢が動揺し、眼振・複視のある本例では前庭系への刺激が加わって気分不良と転倒のリスクを高める。
5. リズミック・スタビリゼーション
✅ 正しい。主動筋と拮抗筋の等尺性収縮を交互に用いて同時収縮を促す手技で、関節運動と頭部の動揺を伴わずに体幹・骨盤帯の固定性を高められる。

【試験対策ポイント】

失調症に対する代表的な運動療法を、ねらいと注意点で整理する。

手技ねらい注意点
Frenkel体操視覚代償を用いた協調性の再学習複視・眼振など視覚障害があると使えない
弾性緊縛帯・重錘負荷固有受容感覚の入力を増やし動揺を減らす重すぎると疲労し動作が緩慢になる
リズミック・スタビリゼーション同時収縮による近位部の安定等尺性のため血圧上昇に注意
ゆっくりした反転(slow reversal)主動筋・拮抗筋の切り替え能力の改善速度が速すぎると動揺が増す

「複視・眼振がある=視覚代償が使えない」という条件の読み取りが分岐点。脊髄小脳変性症は進行性疾患であり、転倒による外傷を避けつつ活動量を保つことが長期目標になる。

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