第46回 理学療法士国家試験 午後 第17問
神経疾患理学療法第46回午後
第46回 理学療法士国家試験 午後 第17問(神経疾患理学療法)の正答は 1 です。図1は長座位で両上肢を体幹の後方につき、肘を伸展させたまま体重を支えて起き上がる方法です。
問題
頸髄損傷者がとる動作で肘伸展筋力を必要とするのはどれか。
- 1. 起き上がり ✓
- 2. 弾性回内装具での駆動
- 3. 身体の後方移動
- 4. 身体の前方移動
- 5. ベッドへの移乗
正答:1番
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解説
■ 正答:1番 — 起き上がり
図1は長座位で両上肢を体幹の後方につき、肘を伸展させたまま体重を支えて起き上がる方法です。肘伸展位で上半身の重量を支えるには上腕三頭筋(C7髄節)の筋力が不可欠です。他の4つはいずれも上腕三頭筋を使わずに行える、C6レベル頸髄損傷者のための代償動作です。
【各選択肢の解説】
1. 起き上がり
✅ 正しい。両上肢を後方につき肘を伸ばして体幹を押し上げる方法で、上腕三頭筋がなければ肘が屈曲して崩れてしまう。C7レベル以上でなければ行えない。
✅ 正しい。両上肢を後方につき肘を伸ばして体幹を押し上げる方法で、上腕三頭筋がなければ肘が屈曲して崩れてしまう。C7レベル以上でなければ行えない。
2. 弾性回内装具での駆動
❌ 誤り。前腕を回内位に保つゴムバンド(弾性回内装具)を用い、手掌をハンドリムに押しつけて摩擦で駆動する方法。上腕三頭筋がなくても行えるC6レベルの手段。
❌ 誤り。前腕を回内位に保つゴムバンド(弾性回内装具)を用い、手掌をハンドリムに押しつけて摩擦で駆動する方法。上腕三頭筋がなくても行えるC6レベルの手段。
3. 身体の後方移動
❌ 誤り。体幹を前屈させて頭部・上半身の重みを利用し、殿部を後方へ滑らせる方法。肘伸展筋を用いない。
❌ 誤り。体幹を前屈させて頭部・上半身の重みを利用し、殿部を後方へ滑らせる方法。肘伸展筋を用いない。
4. 身体の前方移動
❌ 誤り。両上肢を勢いよく挙上して反動をつけ、体幹を前方へ運ぶ方法。上腕三頭筋は不要。
❌ 誤り。両上肢を勢いよく挙上して反動をつけ、体幹を前方へ運ぶ方法。上腕三頭筋は不要。
5. ベッドへの移乗
❌ 誤り。上肢を車椅子のフレームに引っかけ、体幹の前屈と反動、肩関節のロック(肘関節を過伸展位で固定する代償)を利用して殿部を移動させる方法で、肘伸展でのプッシュアップは行っていない。
❌ 誤り。上肢を車椅子のフレームに引っかけ、体幹の前屈と反動、肩関節のロック(肘関節を過伸展位で固定する代償)を利用して殿部を移動させる方法で、肘伸展でのプッシュアップは行っていない。
【試験対策ポイント】
頸髄損傷は残存レベルとADLの対応が最重要。
| 残存レベル | 主な残存筋 | ADLの目安 |
|---|---|---|
| C4 | 横隔膜・僧帽筋 | 環境制御装置・電動車椅子(顎や呼気で操作) |
| C5 | 三角筋・上腕二頭筋 | 装具と自助具で食事可能。肘を伸ばせない |
| C6 | 長短橈側手根伸筋 | 腱固定作用で把持が可能。床上動作・移乗が自立しうるがプッシュアップは不可 |
| C7 | 上腕三頭筋・指伸筋 | プッシュアップが可能となり、移乗・除圧・起き上がりが自立 |
| C8 | 深指屈筋 | 巧緻動作が可能となりADLはほぼ自立 |
「肘を伸ばして体を持ち上げられるか=C7かどうか」が最大の分岐点。褥瘡予防の除圧(プッシュアップ)が自立するのもC7以上。C6では腱固定(テノデーシス)作用——手関節背屈で手指が屈曲する現象——を活かすため、手指屈筋腱をあえて短縮させておく管理を行う。
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