PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午後 第14問

神経疾患理学療法第47回午後

第47回 理学療法士国家試験 午後 第14問(神経疾患理学療法)の正答は 3 です。脊髄小脳変性症でADLは自立、独歩で電車通勤も可能な段階です。

問題
45歳の女性。脊髄小脳変性症。ADLは自立している。独歩は可能で、会社へは電車で通勤している。最近ふらつきが多くなり、時に転倒することがあるという。この患者に指導する内容として適切なのはどれか。
  1. 1. 杖歩行
  2. 2. 片脚起立訓練
  3. 3. 下肢のスクワット訓練
  4. 4. 職場での車椅子の使用
  5. 5. リズムに合わせた歩行訓練

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 下肢のスクワット訓練

脊髄小脳変性症でADLは自立、独歩で電車通勤も可能な段階です。この時期の転倒には失調そのものに加え、抗重力筋の筋力低下による姿勢保持能力の低下が大きく関与します。両足支持のまま安全に行えるスクワットは、大腿四頭筋や殿筋を強化して立位・歩行の安定につながるため適切です。


【各選択肢の解説】

1. 杖歩行
❌ 不適切。失調では上肢にも協調性障害があるため杖が確実な支持点にならず、かえってバランスを崩しやすい。独歩が可能なこの段階で必要な支持でもない。
2. 片脚起立訓練
❌ 不適切。支持基底面が極端に狭くなり、失調のある患者には難易度が高すぎて転倒の危険が大きい。
3. 下肢のスクワット訓練
✅ 適切。支持基底面を保ったまま抗重力筋を強化でき安全性が高い。姿勢保持能力の向上が転倒予防に直結する。
4. 職場での車椅子の使用
❌ 不適切。独歩・通勤が可能な段階での車椅子導入は活動性を下げ、廃用による能力低下を早める。
5. リズムに合わせた歩行訓練
❌ 不適切。メトロノームや号令などの聴覚リズム刺激はParkinson病のすくみ足・小刻み歩行に有効な手法で、小脳性失調に対する標準的な手段ではない。

【試験対策ポイント】

  • 失調に対するアプローチ:重錘負荷・弾性緊縛帯(体幹や四肢)/Frenkel体操/支持基底面を広くとった課題設定/視覚的フィードバックの利用、そして抗重力筋の筋力維持。
  • 進行性疾患では「今できていること(独歩・通勤)を守る」ことが優先される。移動手段のダウングレードや過度な補助具導入は、能力が実際に落ちてから段階的に行う。
  • 疾患ごとの手段を混同しない。リズム・視覚的手がかり=Parkinson病/重錘・緊縛帯=失調/装具・促通=片麻痺
  • 脊髄小脳変性症では嚥下障害・構音障害・自律神経症状(多系統萎縮症では起立性低血圧)も進行するため、運動時のバイタル変動にも注意する。
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