PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午後 第15問

神経疾患理学療法第47回午後

第47回 理学療法士国家試験 午後 第15問(神経疾患理学療法)の正答は 4 です。登はん性起立(Gowers徴候)がみられ、柱につかまってかろうじて立てる段階=歩行能力の喪失が近い時期です。

問題
9歳の男児。Duchenne型筋ジストロフィー。独歩は可能だが、腹部を突き出し両肩を左右に振る動揺歩行と内反尖足とが顕著である。床からの立ち上がり動作では登はん性起立を示し、柱などにつかまればかろうじて立ち上がることができる。上肢に拘縮はなく、ゆっくりであるが両上肢を挙上することができる。この時期に行う理学療法士の対応で優先順位が高いのはどれか。
  1. 1. AFOを装着させ歩行時の内反尖足を矯正する。
  2. 2. 体幹装具を装着させ歩行時の姿勢を矯正する。
  3. 3. 松葉杖歩行の練習を行う。
  4. 4. 四つ這い移動の練習を行う。
  5. 5. 電動車椅子の購入を家族に提案する。

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 四つ這い移動の練習を行う。

登はん性起立(Gowers徴候)がみられ、柱につかまってかろうじて立てる段階=歩行能力の喪失が近い時期です。上肢に拘縮がなく挙上も可能な今のうちに、次の移動手段となる四つ這い移動を習得させておくことが優先されます。これにより歩行喪失後の移動能力の断絶を防げます。


【各選択肢の解説】

1. AFOを装着させ歩行時の内反尖足を矯正する。
❌ 不適切。Duchenne型では尖足は重心を膝関節の前方に保って膝折れを防ぐ代償として働いている。歩行時に矯正すると立位・歩行が困難になる。装具は夜間の拘縮予防目的で用いる。
2. 体幹装具を装着させ歩行時の姿勢を矯正する。
❌ 不適切。腰椎前弯の増強と動揺歩行も殿筋・体幹筋の弱化に対する代償である。歩行時に体幹を固定すれば歩けなくなる。体幹装具は歩行喪失後の座位期に側弯対策として検討する。
3. 松葉杖歩行の練習を行う。
❌ 不適切。肩甲帯・上肢の筋力低下があり松葉杖で体重を支持できない。転倒の危険を高めるだけになる。
4. 四つ這い移動の練習を行う。
✅ 適切。上肢挙上が可能で拘縮もない現時点で習得させれば、歩行喪失後もただちに移動手段として使える。上肢・体幹の筋力と関節可動域の維持にもつながる。
5. 電動車椅子の購入を家族に提案する。
❌ 不適切。まだ独歩が可能であり、この時点での導入は活動性を下げて廃用を進める。歩行が困難になる時期に合わせて準備する。

【試験対策ポイント】

  • 厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類:ステージ4=独歩可能/5=歩行不能・四つ這い可能/6=四つ這い不能・いざり可能/7=座位保持可能/8=常時臥床。本例はステージ4〜5の境目で、次の段階への準備が理学療法の主眼になる。
  • Duchenne型の代償動作は壊さない。登はん性起立・動揺歩行・尖足・腰椎前弯はいずれも弱化した筋を補う戦略であり、矯正すると能力を奪う。
  • 過用性筋力低下を招くため、最大努力の抵抗運動や疲労を残す運動は行わない
  • 長期の管理の柱は、関節拘縮の予防・側弯の管理・呼吸機能の維持(歩行喪失後に急速に低下する)・心筋症への対応の4つ。
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