PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午前 第17問

神経疾患理学療法第48回午前

第48回 理学療法士国家試験 午前 第17問(神経疾患理学療法)の正答は 4 です。第6頸髄節まで機能残存(C6レベル)では、手関節背屈(長・短橈側手根伸筋)は使えますが、上腕三頭筋(C7)と手指屈筋(C8)が麻痺しており、手で握って物を持ち上げることができません。

問題
頸髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)患者に対する車椅子上の動作指導の方法で誤っているのはどれか。
第48回午前第17問 図
  1. 1. 車椅子上での位置の修正
  2. 2. 車椅子とベッド間の移乗
  3. 3. 車椅子上での位置の修正
  4. 4. 足をベッドに上げる
  5. 5. 車椅子上での除圧

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 足をベッドに上げる

第6頸髄節まで機能残存(C6レベル)では、手関節背屈(長・短橈側手根伸筋)は使えますが、上腕三頭筋(C7)と手指屈筋(C8)が麻痺しており、手で握って物を持ち上げることができません。図4は車椅子に座ったまま下腿を手で握って持ち上げベッドに乗せる方法を示しており、C6残存患者には行えません。設問は「誤っているもの」を選ぶ問題なので、正答の4番だけが❌になります。


【各選択肢の解説】

1. 車椅子上での位置の修正
✅ 正しい。体幹を大きく前屈させ、上肢をアームレストやフレームに引っかけて殿部を後方へ移動させる方法。肘伸展筋がなくても頭頸部・体幹の重みを利用して行える。
2. 車椅子とベッド間の移乗
✅ 正しい。前方移乗の方法で、肩関節の外旋と大胸筋・上腕二頭筋の作用で肘を伸展位にロックすれば、上腕三頭筋がなくても体幹を支持できる。
3. 車椅子上での位置の修正
✅ 正しい。両上肢をアームレストに押しつけてプッシュアップし、頭頸部と体幹の動きを組み合わせて殿部の位置を修正する方法。C6レベルの標準的な動作。
4. 足をベッドに上げる
❌ 誤り。手指屈筋が麻痺しているため下腿を握って持ち上げることはできない。実際には手関節背屈によるテノデーシス把持を使うか、前腕を膝窩や下腿の下に差し込んですくい上げる方法をとる。
5. 車椅子上での除圧
✅ 正しい。上肢を挙上して体幹を側方に傾け、片側の殿部を浮かせるサイドリーン(前傾による除圧も可)。プッシュアップが困難なC6でも実施でき、褥瘡予防に必須の動作。

【試験対策ポイント】

C6は「自立と介助の分かれ目」となる最重要レベルです。

残存レベル使える主な筋ADLの目安
C5三角筋・上腕二頭筋食事は自助具で一部可、移乗は介助
C6橈側手根伸筋・大胸筋テノデーシス把持で更衣・移乗が自立可能
C7上腕三頭筋プッシュアップ・移乗が確実に自立
C8深指屈筋把持が可能となりADLはほぼ自立

テノデーシス(腱固定)作用=手関節を背屈すると手指が他動的に屈曲して物をつまめる現象。C6の把持はこれに依存するため、手指の腱をあえて伸ばしすぎない(軽度の拘縮を残す)管理が行われます。

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