PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第34問

神経疾患理学療法第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第34問(神経疾患理学療法)の正答は 4 です。第5頸髄まで機能残存(C5レベル)では三角筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋・棘上筋/棘下筋が使えますが、手関節伸展(C6)と肘伸展・手指(C7〜T1)は働きません。

問題
頸髄損傷(第5頸髄まで機能残存)患者が獲得できる機能で正しいのはどれか。
  1. 1. 自己導尿ができる。
  2. 2. ズボンの着脱ができる。
  3. 3. 自助具なしで食事摂取ができる。
  4. 4. ノブ付ハンドリムの車椅子を操作できる。
  5. 5. トランスファーボードを使ってベッドから車椅子へ移乗できる。

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — ノブ付ハンドリムの車椅子を操作できる。

第5頸髄まで機能残存(C5レベル)では三角筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋・棘上筋/棘下筋が使えますが、手関節伸展(C6)と肘伸展・手指(C7〜T1)は働きません。したがって握れなくても肩と肘の力で駆動できるノブ(突起)付きハンドリムの車椅子であれば、平地の操作が可能になります。


【各選択肢の解説】

1. 自己導尿ができる。
❌ 誤り。カテーテル操作には手指の巧緻性が必要で、実用的な自己導尿はC7以下(一般にはC8レベル)で可能になります。C5では不可能です。
2. ズボンの着脱ができる。
❌ 誤り。下衣更衣は座位バランス、体幹の前屈・側屈、プッシュアップによる殿部挙上が必要で、C7以下でようやく自立が視野に入ります。
3. 自助具なしで食事摂取ができる。
❌ 誤り。C5では手指の把持ができないため、万能カフやBFO(バランス式前腕支持具)などの自助具が必須です。自助具なしの食事はC7程度から可能になります。
4. ノブ付ハンドリムの車椅子を操作できる。
✅ 正しい。C5では上腕二頭筋による肘屈曲と三角筋が使えるため、摩擦を高めたハンドリムやノブ付ハンドリムを用いれば平地での自走が可能です。
5. トランスファーボードを使ってベッドから車椅子へ移乗できる。
❌ 誤り。ボード移乗にも殿部を浮かせるプッシュアップが必要で、上腕三頭筋(C7)または手関節伸展による肘ロック(C6)が要ります。C6でボード移乗が可能となり、C5では全介助です。

【試験対策ポイント】

頸髄損傷は「キー筋」と「できるようになること」を対で覚えるのが鉄則です。

残存レベルキーマッスル到達できる主な機能
C4横隔膜・僧帽筋電動車椅子(顎・呼気操作)、全介助
C5三角筋・上腕二頭筋自助具での食事、ノブ付ハンドリムで自走
C6長短橈側手根伸筋腱固定作用で把持、ボード移乗、車椅子自立
C7上腕三頭筋プッシュアップ可、移乗自立、自己導尿・更衣が視野に
C8〜T1手指屈筋・手内在筋巧緻動作可、ADLほぼ自立

C6のtenodesis action(腱固定作用)が自立度の分水嶺になるので、必ず押さえてください。

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