PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第35問

神経疾患理学療法第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第35問(神経疾患理学療法)の正答は 4 です。頸髄損傷者では長座位保持・座位でのプッシュアップ・更衣(特に下衣)動作のために、ハムストリングスの伸張性を正常以上に高めておく必要があります。

問題
頸髄損傷患者で正常可動域以上の可動性の獲得が望まれるのはどれか。
  1. 1. 肘関節伸展位での肩関節伸展
  2. 2. 手関節背屈位での肘関節伸展
  3. 3. 頸部屈曲位での体幹屈曲
  4. 4. 膝伸展位での股関節屈曲
  5. 5. 膝屈曲位での足関節底屈

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 膝伸展位での股関節屈曲

頸髄損傷者では長座位保持・座位でのプッシュアップ・更衣(特に下衣)動作のために、ハムストリングスの伸張性を正常以上に高めておく必要があります。具体的には膝伸展位での股関節屈曲(SLR)で110〜120°程度が求められ、これが得られないと骨盤が後傾して長座位が安定しません。


【各選択肢の解説】

1. 肘関節伸展位での肩関節伸展
❌ 誤り。上腕三頭筋が麻痺したC6レベルでは、肩関節伸展と外旋を利用して肘を伸展位でロックします。過度な可動性は肩関節の不安定性・疼痛を招くため、正常以上の獲得は望ましくありません。
2. 手関節背屈位での肘関節伸展
❌ 誤り。手関節背屈で手指が屈曲する腱固定作用(tenodesis action)を活かすには、手指屈筋腱がやや短縮している状態が有利です。むしろ手指伸展方向の可動域は制限しておく(過伸展させない)のが原則です。
3. 頸部屈曲位での体幹屈曲
❌ 誤り。損傷部の頸椎に過度な屈曲ストレスを加えることは、脊椎の不安定性を助長するため避けます。
4. 膝伸展位での股関節屈曲
✅ 正しい。長座位保持・プッシュアップ・下衣更衣に必要で、SLRで110〜120°程度の正常域を超える柔軟性が求められます。
5. 膝屈曲位での足関節底屈
❌ 誤り。底屈方向の可動性を高める必要はなく、むしろ尖足(底屈拘縮)を防いで背屈0°以上を保つことが車椅子のフットレスト設置や立位・移乗のために重要です。

【試験対策ポイント】

頸髄損傷のROM管理は「広げる部位」と「あえて広げない部位」を分けて考えます。

方針部位理由
正常以上に広げる股関節屈曲(膝伸展位)長座位・更衣・プッシュアップ
正常域を保つ肩・肘・前腕・足関節背屈拘縮予防、移乗と装具装着
あえて広げない手指伸展(特にMP・PIP)腱固定作用による把持を残すため

とくに手指は「拘縮予防=全部伸ばす」と機械的に考えると誤りになるので注意してください。C6以下では手指をやや屈曲位に保つのが実用手をつくるコツです。

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