PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第49回 理学療法士国家試験 午前 第11問

理学療法評価学第49回午前

第49回 理学療法士国家試験 午前 第11問(理学療法評価学)の正答は 1 です。中心性頸髄損傷は、頸髄の中心部(灰白質周辺)が障害されるため、上肢の麻痺が下肢より強く残るのが最大の特徴です。

問題
68歳の男性。歩行中に転倒して歩けなくなり救急搬送された。上下肢に麻痺を認めたが骨傷はみられず、中心性頸髄損傷の診断を受けた。受傷5日後のADLは全介助であった。6か月後にFIMでADLを評価したときに、最も自立度が低いと予想される項目はどれか。
  1. 1. 更衣(上半身)
  2. 2. 排尿管理
  3. 3. トイレ移乗
  4. 4. 歩行
  5. 5. 階段昇降

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — 更衣(上半身)

中心性頸髄損傷は、頸髄の中心部(灰白質周辺)が障害されるため、上肢の麻痺が下肢より強く残るのが最大の特徴です。とくに手指の巧緻動作の回復が遅れるため、ボタンやファスナー操作を含む上半身の更衣が最も自立しにくくなります。


【各選択肢の解説】

1. 更衣(上半身)
✅ 正しい(最も自立度が低いと予想される)。上肢・手指の巧緻性障害が最後まで残るため、被り物の操作やボタン留めが困難になりやすい。
2. 排尿管理
❌ 誤り。中心性頸髄損傷では膀胱直腸障害は比較的軽度で、6か月後には自排尿が可能となる例が多い。
3. トイレ移乗
❌ 誤り。下肢機能は比較的保たれるため、手すりなどを用いた移乗は自立しやすい。
4. 歩行
❌ 誤り。下肢の麻痺は軽度で、歩行能力は上肢機能より良好に回復するのが典型的な経過。
5. 階段昇降
❌ 誤り。歩行と同様に下肢機能に依存する項目で、手すり使用で自立に至ることが多い。

【試験対策ポイント】

中心性頸髄損傷(中心性脊髄損傷)は、高齢者が転倒して過伸展を強制されたときに骨傷なく発症するのが典型例です。本問のように「骨傷なし」「高齢者」「転倒」がそろえば真っ先に想起してください。

要点は次の3つ。

  • 上肢>下肢の麻痺(inverted paraplegiaと呼ばれる分布)。とくに手指の障害が強い
  • 膀胱直腸障害・感覚障害は比較的軽い
  • 予後は比較的良好で歩行自立に至る例が多いが、手指の巧緻性は残存しやすい後遺症
「歩けるのに服が着られない」という一見矛盾した像が、この病態を見抜くキーワードです。

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